写真●検索連動型広告大手のオーバーチュア
マーケティング シニアディレクターの山中理惠氏
写真●検索連動型広告大手のオーバーチュア マーケティング シニアディレクターの山中理惠氏

 2007年11月7日、東京・六本木の東京ミッドタウンで開かれた「NET Marketing Forum Fall 2007」のキーノートセッションで、検索連動型広告大手のオーバーチュア マーケティングシニアディレクターの山中理惠氏が講演した。『クロスメディア広告の本質』というテーマで、普及したクロスメディア広告における新たなサーチマーケティングの意味と意義について取り上げた。

 クロスメディア広告は、テレビなどのオフライン広告からwebへの誘導を目的として展開され、2004年頃から急速に普及してきた。テレビ視聴の変化、ブロードバンド環境の普及、既存メディアに対する意識の変化などから、クロスメディア広告の必要度は高まっているが、ここへきて新たな課題も見えてきた。

 なかでも重要なのは、通常の検索結果との切り分けだ。ネットでの検索行動は、その多くがはっきりした目的を持っている。特に購買行動において、「よりこだわる商品(パソコン、デジカメ、自動車など)ほど、検索して、納得した上でアクションを起こしている」とする。

 インターネットによって、「AIDMA」といわれていた消費行動が「AISAS」へプロセスそのものの変化が起きたためである。AISASでは、アテンション・インタレストの次にサーチして調べ、購入といったアクションにすぐつながる。さらに、情報はシェアされ広がっていく。こういった機会を損失しないために、誘導したサイトに最適な内容を提示できるかどうかが問われているという。

 正しい誘導ができているかどうか。「誘導することそのものが目的ではなく、探している解が誘導された先にあることが必要だ。現在はそういったことへの、気づきのフェーズに差しかかっており、十分な成果をあげるためには、もう一段高いレベルでのネット誘導を考える必要がある」と山中氏は言う。

 さらに、どのような検索結果が表示されるのかによって、その企業、商品、サービスがネット全体の中でどのようなポジションにあるのか、はっきり見えてしまう。「検索の結果、どう表示されるかを考えなくてはいけない時代になった。新しいサーチマーケティングが必要だ」と指摘する。

 山中氏は、「検索はネットへの誘導に有効な手段であることに変わりはないが、今後、ネットでのビジネスプロセスの変化を踏まえた上で、ネット上のコミュニケーションの目的をはっきりさせ、誘導方法(サーチ)を設計していくことがクロスメディア・マーケティングに必要な手順だ」と語り、「幅広い視点をもって、取り組んでほしい」と締めくくった。

特集●NET Marketing Forumに見るマーケティング・イノベーション

■変更履歴
本文で2箇所の誤りがありました。
アテンション・インプレッション→アテンション・インタレスト
中山氏→山中氏
お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2007/11/08 12:45]