写真1●モデレータを務めたネットイヤーグループ 代表取締役社長 兼 CEOの石黒不二代氏
写真1●モデレータを務めたネットイヤーグループ 代表取締役社長 兼 CEOの石黒不二代氏
写真2●マイクロソフト デジタル アドバタイジング ソリューションズ AS/BEETグループ メディアアーキテクトの中山行功氏
写真2●マイクロソフト デジタル アドバタイジング ソリューションズ AS/BEETグループ メディアアーキテクトの中山行功氏
写真3●電通 テクニカルディレクターの中村洋基氏
写真3●電通 テクニカルディレクターの中村洋基氏

 11月7日に東京・六本木の東京ミッドタウンで開催された「NET Marketing Forum Fall 2007」において、キーノートパネル「ユーザーの感性にささる新しいマーケティングに向けて~リッチコンテンツ時代のネットメディアのうまい使い方~」と題し、第一線で活躍するネットメディアのクリエイターらがパネルディスカッションを行った。

 ネットメディアに関する様々な広告賞の受賞実績がある、マイクロソフト デジタル アドバタイジング ソリューションズ AS/BEETグループメディアアーキテクトの中山行功氏と、電通テクニカルディレクターの中村洋基氏に加え、モデレータとして、企業サイトの構築を数多く手がけるネットイヤーグループ 代表取締役社長 兼 CEOの石黒不二代氏が登壇。ネットメディアにおけるクリエイティブやコミュニケーションのあり方、およびマーケティングとの連携について意見を交わした。

 ディスカッションの冒頭では、モデレータであるネットイヤーグループの石黒氏が、メディアの多様化に伴う消費者の購買行の変化を紹介。消費者にネットが浸透する中で、「これまで企業が認知を促すアプローチ策として多用してきたマスメディアに置き換わり、ネットメディアが広告媒体の主体となっている」と述べた。

 加えて、ブログやSNS(Social Networking Service)のような、消費者の購買に大きな影響を与えるCGM(Consumer Generated Media)の存在を取り上げ、「まさに消費者がモノを言う時代になってきた。そういった市場を消費者自身が広げている」と指摘した。

 これを受けてマイクロソフトの中山氏は、若者層の広告に対する印象を問う自社内の調査結果を報告した。若者層の83%が「最近、宣伝や広告が多すぎる」と回答しながらも、一方で「興味ある分野の新商品に関する宣伝広告は好きだ」との回答が74%にものぼっていることを紹介。その上で、「興味や共感を呼ぶ、魅力的な広告にはニーズが十分にある」と明言した。

 では、もっとネットメディアを効果的に使うにはどうしたらよいのか。電通の中村氏は、まずネットメディア活用の意義について、「既存の価値を再構築したり、くつがえすことではないか」との考えを示した。

 さらに、企業におけるネットマーケティング活動でのゴールの設定について言及し、「企業が自社の商品をどのように消費者に思われたいのか。また、どのようにコミュニケーションをとりたいのかを先ずよく検討し、そこがブレなければ表現舞台や方法はあまり問題がない」と主張した。

 ディスカッションの中では、3者が手がけたWebプロモーションの成功事例も紹介された。ネットイヤーグループの石黒氏は、日本公文教育研究会のWebサイトを示し、「実際に行っているサービスをWebサイト上で消費者に体現させることが重要」と成功の秘訣を明かした。

 また、電通の中村氏は、動画やFlashなどを駆使した本田技研工業やクレハなどの体感型Webプロモーションサイトを披露。最後にマイクロソフトの中山氏は、ネットの特性を活かしながら効果的にバイラルマーケティングやリッチコンテンツを取り入れた成功事例として、ソニーのワンセグ対応ウォークマンによるWebプロモーション「REC YOU」を取り上げ、今後は「単にクロスメディアを構築するのではなく、ネットを中心に据えながら生活者を全包囲するプロモーションを仕掛けていくことが重要だ」と結論づけた。

特集●NET Marketing Forumに見るマーケティング・イノベーション