米BEA Systemsの役員会は米国時間10月29日,同社の筆頭株主であるCarl C. Icahn氏から「経営者が利益を防壁で囲むエントレンチメント行動だ」と非難されたことを受け,身売りに反対しない立場であることを明言した。「実際,売却の可能性を含め,株主価値を最大限に高める手段を模索中である」(BEA役員会)。

 同社に対しては米Oracleが1株当たり17ドル(総額67億ドル)で買収する提案を持ちかけていたが,同社役員会が「当社の価値を著しく過小評価した金額だ」としてこれを拒否。「17ドルより寛大な提示額はない」とするOracleと「1株当たり21ドルで交渉に応じる」とするBEAが互いに主張を変えないまま,10月28日午後5時に交渉の期限をむかえた(関連記事:OracleがBEA買収提案を撤回,「株主は適切な行動を」)。

 Icahn氏は,「1株当たり21ドルは交渉のためのテクニックではなく,経営者のエントレンチメント戦術としての価格だ」と役員会を批判し,買収提案に関する株主投票を認めるよう要請する書簡を10月26日付でBEA役員会あてに送っていた。

 同氏が求めるのは,BEAのオークションを実施し,最高額の入札価格について株主が承認投票を行うこと。Oracleの提示額より高い金額がなかった場合は,Oracleの提案を受け入れるかどうか「役員会ではなく株主が決定する」(同氏)。

 また同氏は,「株式発行や資産売却など,株主が承認していない“焦土戦術”が行われる前に」(同氏),株主総会の開催を要請する訴訟をデラウエアの裁判所で起こした。さらに,BEA役員会が同氏の要請を認めなかった場合,委任状争奪戦に乗り出す可能性を示唆した。

 BEA役員会は,「Oracleの提案を断ったのは,1株17ドルが著しく当社を過小評価した価格だったからだ。全株主の利益を守るため,我々はOracleあるいはその他の何者に対しても,その価格での売却には断固反対し続ける」と回答している。

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