欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は10月22日午前(ベルギー時間)米MicrosoftがECの独占禁止法(独禁法)担当委員に大きく譲歩し,2004年に下されたEUの独禁法違反判決を受け入れると発表した。さらにMicrosoftは,欧州の第一審裁判所(CFI)が2007年9月に出した決定についても上訴しないことにした(関連記事:Microsoft,競争法違反を巡る欧州委員会の決定に完全遵守で合意)。

 Microsoftは「CFIの決定について欧州司法裁判所への上訴を行わない。今後もECおよび業界全体と密接に協力し,欧州や全世界でIT市場の反映と競争的環境の推進に努める」との声明を出した。EUの声明には「これからMicrosoftは,義務を果たすのに必要な行動を起こす」とある。

 一方,EUの独禁法担当委員であるNeelie Kroes氏は,3年にわたる厳しい裁判で強情な態度を取り続けたMicrosoftを批判しており,公式声明ほどには楽観的でなかった。Kroes氏は同日「Microsoftが2004年の決定を完全に守るため,やっと着実に歩み出したことを歓迎する」と述べたものの,「Microsoftによる和解条件の合意が,大幅に遅れ,二つの判決が出て,制裁金を毎日科された後になって初めて実現した点を残念に思う」と話した。

 MicrosoftはEUの決定に従うため,重要条件とされるワークグループ・サーバー相互接続実現に必要な情報提供ライセンス料の大幅減額に合意した。独禁法担当委員らがライセンス料を0.4%にするように求めたのに対し,これまでMicrosoftは5.95%としていた。EUによると,Microsoftは「提供する情報の漏れをなくし,正確さを高める」ことも保証するという。

 「今日が消費者の勝利記念日だ。これをもって,和解条件の順守にともなう主な問題は解決した」(Kroes氏)。