米Microsoftは10月第1週,オンライン・サービスに関して若干の戦略変更を発表した。個人および小規模企業向けのサービスは,「Live」ブランドで展開することになった。こうしたサービスには,既存の「Windows Live」「Office Live」「Xbox Live」などが該当する。一方,「Online」ブランドを冠し,大企業向けの新たなサービス群の提供も始める。こちらのサービスには「Microsoft Exchange Online」「Microsoft Office SharePoint Online」「Microsoft Office Communications Online」などを用意する(関連記事:Microsoft,「Exchange」「SharePoint」などの企業向けオンライン・サービス開始)。

 さらにMicrosoftは,「Microsoft Office」ユーザー向けWebストレージ/コラボレーション環境という新たなLiveブランド・サービス「Office Live Workspaces」も発表した。同サービスは米Googleなどが提供しているほかのオンライン・オフィス・プロダクティビティ・サービスと違い,Web上で文書の編集は行えない。しかも,パソコン用オフィス・アプリケーションを使い続ける必要がある。Office Live Workspacesの対象ユーザーは消費者,学生,小規模企業であり,無料で利用できる。Microsoftは10月1日にベータ版の提供を開始し,近いうちに提供範囲を広げる予定だ。

 Microsoftによると,これら新しいオンライン・サービスに向かう動きは「ソフトウエア+サービス」戦略の継続を意味していて,同戦略を通じて同社のデスクトップおよびエンタープライズ向け製品の構成要素とWeb対応サービスを「合成する」という(関連記事:Microsoftが「ソフトウエア+サービス」戦略で直面している困難)。この戦略について,Microsoftは「ライバルが目標としているような完全なコンピューティング・クラウド環境への移行を試みるよりも,実現性が高い」としている。

 「当社の提供しているオンライン・サービスや,ユーザーの環境に導入するソフトウエア,当社のパートナによるオンライン・サービスといった選択肢を企業に用意することで,業務の要件に最適なソフトウエアと機能を選定可能な柔軟性が生まれる」(Microsoftビジネス部門担当社長のJeff Raikes氏)。

 「将来の職場では,クライアント・パソコンや企業内のサーバー上で動くローカルなソフトウエアと,コンピューティング・クラウドから提供されるサービスの組み合わせでIT環境を作るはずだ。われわれは,選択肢と柔軟性,そしてソフトウエアおよびサービスの両方のパワーをユーザーに提供していく。IT環境というものは,純粋なソフトウエアから純粋なサービスまで連続的につながっている。大抵のユーザーは,その中間地点のどこかに当てはまるだろう」(Raikes氏)。