欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は,携帯電話分野の独占的地位を乱用して欧州競争法(EC Treaty)第82条に違反した疑いで,米QUALCOMMに対する正式な調査を開始したと現地時間10月1日に発表した。

 QUALCOMMは,携帯電話向け標準CDMA/WCDMAの実装に必要な特許を所有している企業。欧州で展開されている第3世代(3G)携帯電話網は,WCDMA標準を採用している。

 ECによる調査は,米Broadcom,スウェーデンEricsson,NEC,フィンランドNokia,パナソニックモバイルコミュニケーションズ,米Texas Instruments(TI)という6社の申し立てに基づいて実施する。QUALCOMMのライセンス契約について,6社は「公正,合理的かつ差別のない条件(FRAND:Fair,Reasonable And Non-Discriminatory)ではなく,ECの競争法に違反する可能性がある」と主張している。「FRANDに基づかない契約条件の悪影響で,携帯電話機の価格が上昇し,3G標準の開発が遅れたと考えられる」(6社)。

 調査に必要な期間は状況によって異なることから,ECは明確なスケジュールを決めていない。

 なおQUALCOMMは,BroadcomやNokiaと特許侵害訴訟で争っている(関連記事1:BroadcomとQUALCOMMの特許侵害係争,サード・パーティ製品は輸入禁止措置を保留,関連記事2:長期化するQUALCOMMとの特許闘争,今度はNokiaが輸入差し止めを要求)。

[発表資料(EC)]
[発表資料(Nokia)]