米International Herald Tribune紙の記事によると,米Microsoftと欧州連合(EU)が何年にもわたって争ってきた独占禁止法(独禁法)違反訴訟は,中間的な結論で終了する公算が大きいという。既にEUの第一審裁判所は,判決を9月17日に出す予定を発表している。さらに,この訴訟の担当判事であるBo Vesterdorf氏は,判決の公表日に退任する(関連記事:Microsoftの独禁法違反訴訟の判決は9月17日)。

 この訴訟の重大さと,Microsoftが当初の判決で命じられた和解条件を完全には満たしてこなかったことを考えると,どのような判決になっても議論が巻き起こり,先例となる。ここにきて両陣営の法務担当者は,Vesterdorf氏が主な法的争点でMicrosoftとEUの双方にそれぞれ有利な判断を下し,うまく痛み分けさせるとみるようになった。

 法務担当者らは「Microsoftがソフトウエア同こん問題で勝ち,政府から介入されることなく,自由に,将来版Windowsへ新機能を追加できるようになる」と考えている。その一方で,判決はMicrosoftのパソコン向けOS市場における事実上の独占状態を考慮し,EUがMicrosoftに命じた「相互接続性の実現に必要な技術文書を,適切なライセンス料でライバル企業に提供させる」という和解条件の正当性を認める。このように最終判決が割れると,欧州の法務担当者は「Microsoftに科された記録的な6億8100万ドルもの罰金を,第一審裁判所が減額する」と予想している。

 ただし,Vesterdorf氏は何も発言していない。同氏は判決の申し渡し日を明らかにして以降メディアとの接触を断っており,1998年の米Sun Microsystemsによる申し立てに端を発するこの訴訟について今後もコメントしない。もっとも,この争いが9月17日で終わることなどないだろう。MicrosoftとEUのどちらかが欧州裁判所に控訴し,決して最終回を迎えそうにないドラマがもう3年続く。