欧州連合(EU)の第一審裁判所が7月17日(現地時間),米Microsoftの独占禁止法(独禁法)違反訴訟に関する判決を9月17日に出すと発表した。Microsoftは,独禁法違反とされた判決を不服として,2004年にEU高等裁判所へ控訴したのだ。

 Microsoftの広報担当者は「当社は同裁判所の判断を心待ちにしている。今後も業界および政府と協力し,欧州の顧客とコミュニティの要求に応える最善の道を進む」と述べた。判決はグリニッジ標準時9月17日の午前7時30分に下されるので,カレンダーに印を付けておこう。

 このEU第一審裁判所の判決は,同裁判所の所長であるBo Vesterdorf氏の退任直前になされる。Vesterdorf氏は2004年終わりからMicrosoftの独禁法問題を担当してきた人物で,2007年9月までに判決を出すと約束していた(関連記事:EU裁判所の判事,「Microsoftへの判決は07年9月までに出す」)。Microsoftは控訴したにもかかわらず,EUの独禁法当局である欧州委員会(EC)から命じられた仕様変更を実施するよう合法的に要求された。例えば,メディア・プレーヤ非搭載のWindows(「Windows XP」および「Windows Vista」の「N」エディション)をリリースすることや,ローエンド・サーバー市場の競業企業に通信プロトコル文書を公開することを求められた。

 MicrosoftはECの要求を完全に満たさないため,これまで何度もEUと衝突してきた。2004年の判決で求められた和解条件は,いまだ完全には対応されていない。現在EUは,「Microsoftから提出された最新の技術文書を調べ,要求を満たしているかどうか確認している最中」という。Microsoftは2006年7月,和解条件の不履行を理由に2億8000万ユーロの制裁金を科された(関連記事:欧州委員会がMicrosoft独禁法違反で3億5600万ドルの制裁金を決定,Microsoftは提訴へ)。EUは「Microsoftに制裁金を上乗せする可能性がある」としている(関連記事:欧州連合はMicrosoftに満足せず,制裁金上乗せを警告)。