米国マサチューセッツ州が8月第1週,米Microsoftの文書フォーマット「Office Open XML」の採用を正式に認め,オープンソースの「Open Document Format(ODF)」とともにオフィス・プロダクティビティ・アプリケーション向け文書フォーマットとして受け入れを決めた。同州は,将来的に商用ソフトウエア・ベンダーへの過度な依存を回避し,常に公的な州の文書を利用できるようにするため,オープンなXMLベースの文書フォーマットへの移行を進めているという。マサチューセッツ州は,MicrosoftのOffice Open XMLがこうした要件を満たせると考えているのだ(関連記事:マサチューセッツ州,文書フォーマット「Open XML」を採用へ)。

 この決定を下す前段階で,マサチューセッツ州は個人と組織から寄せられた500件近くのコメントに目を通した。コメントのほとんどは,同州がMicrosoftの文書フォーマットを採用することに対する苦情だった。ところが,マサチューセッツ州の行財政次官であるHenry Dormitzer氏によると,Open XMLはODFと同じく「標準化された手順に従って適切に扱うことが可能」で,同州が事前に発表した要件も満足しているという。さらに重要なことは,Open XMLを使うと,マサチューセッツ州の職員はなじんだお気に入りのプロダクティビティ・アプリケーション・スイートである「Microsoft Office」を引き続き利用でき,必要なすべての機能も使用可能で,Open XMLによるシームレスな互換性も手に入れられることだろう。

 マサチューセッツ州の指摘通り,同州は米国で初めてオープンな文書フォーマットに関する正式な方針を導入する州であり,同州とMicrosoftのいざこざはほかの州や組織から注目されていた。マサチューセッツ州が奮闘した結果,最終的にMicrosoftはOpen XMLを公開することとなり,同州もMicrosoft Officeを継続利用できるようになった。

 Dormitzer氏とマサチューセッツ州CIO代理のBethann Pepoli氏は,8月1日付けの声明文に「(マサチューセッツ州)行財政事務局の情報記述部門は,XML技術の活用で情報の共有/再利用/目的変更を可能とするサービス指向アーキテクチャ(SOA)のビジョンを明確に示す」と記した。「文書フォーマットは,最終的な生成物でなく情報を運ぶ入れ物として,このビジョンの一部を担う。ベンダーに偏りのない,オープンで標準化されたXML文書フォーマットを利用可能とすることで,このビジョンの実現が近づく」(両氏)。

 Open XMLはもともとMicrosoftの社内で開発されたものの,現在は標準化組織のEcma Internationalが管理していることに注意しよう(関連記事:標準化組織Ecma,オフィス・アプリ向けファイル形式「Office Open XML」を承認)。マサチューセッツ州でOpen XML採用に苦情を訴えた人々の大多数は,Open XMLとEcma Internationalの関係を知らなかったのだろう。