米Googleは7月第1週,「当社は,米Microsoftの独占禁止法(独禁法)違反判決にともなう和解条件の順守状況について関係者の立場で意見を述べられるよう,今後もコロンビア特別区連邦地方裁判所に申し立てていく」と発表した。この発表は,同地裁の判事であるColleen Kollar-Kotelly氏が「Googleの見解には関心がない」と述べてからまだ1週間も過ぎずになされた。

 Kollar-Kotelly氏は「この係争でMicrosoftを共同告発した米司法省(DOJ)と関係州は,Googleでなく消費者を代弁している」と発言している(関連記事「Google,『Microsoftはいまだに和解条件を破っている,さらなる監視が必要』」)。

 Googleは同地裁に提出した申し立てで,Microsoftが予定している「Windows Vista」の「インスタント・サーチ」機能の非競争的な仕様を緩和する措置について,Googleの訴えを再審査するよう求めた。Googleによると,「インスタント・サーチはWindowsのほかのミドルウエア・アプリケーションと同様に扱うべきで,パソコン・メーカーやエンド・ユーザーに入れ替え手段を用意しなければならない」という。Microsoftは2週間前Googleに譲歩し,インスタント・サーチの仕様を若干変更することに合意したものの,Googleは「仕様変更が不十分」としている(関連記事「Microsoft,『Windows Vista SP 1』でGoogleに条件付き降伏」,「『Windows Vistaの検索機能の仕様変更は不十分』-- GoogleはMicrosoftの対応に満足していない」)。

 Microsoftの独禁法違反判決に従うと,ライバル会社の申し立て先はDOJおよび関係州に限られており,同地裁に直接提出できないはずである。それにもかかわらず,DOJと関係州がいずれも「Microsoftによるインスタント・サーチに関する妥協は十分」と判断したところ,Googleは同地裁に対して調停を直接申し立てた。MicrosoftはGoogleのこうした戦略的な行動を「当社の行動監視用に設定された法的手順を“迂回する戦略”」と表現し,Kollar-Kotelly氏もこれに同意した。

 ここにきてGoogleは再び挑戦しているのだ。Googleは「当社もデスクトップ検索技術を開発していることから,Microsoftの提案している仕様変更に独特な見解をしている」と述べる。さらにGoogleは,Microsoftが実行を約束した仕様変更について,もっと技術情報を出すよう要求している。こうしてGoogleがこの係争の関係者であるかどうかの判断は,再びKollar-Kotelly氏の手に委ねられた。