「4年後までにソフトバンク・グループのネットワークを統合し,IMS(IP multimedia subsystem)を使ったNGNに移行したい」--。NTT,KDDI,ソフトバンクのキーパーソンが一堂に介したセッション「NGNの実現に向けた各社の技術戦略」でソフトバンクBBの牧園啓市技術統括ネットワーク本部長(写真1)はこう語った。このセッションは,千葉県の幕張メッセで開催中の「Interop Tokyo 2007」のなかのプログラムである。
ソフトバンク・グループのNGNへの移行計画の具体像はこれまで明らかになっていなかったが,この日の牧園氏の講演でその姿が見えてきた(写真2)。
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牧園氏が説明する移行プラン例はこうだ。「まずはグループのネットワークの出口をソフトバンクテレコム(SBT)に一本化(写真3)。SBTのネットワークからNTTのNGNなどに接続する構成を作る(写真4)。続いてソフトバンクモバイル(SBM)のネットワークをメディア・ゲートウエイ(MGW)化して,全サービスをオールIPで接続し(写真5)。あとはIMSを通じてグループ内のアプリケーション・レイヤーを統合する(写真6)」。
もっとも牧園氏は「ソフトバンクBB(SBB)に関しては,既にIP網上で音声サービスや映像配信サービスを展開中。5年前からNGNライクなネットワークを進めている」と語る。ただ「現状グループ全体のネットワークは遅延が多く,宅内に超小型3Gの基地局を設置するフェムトセル(参考記事)や地上デジタル放送の再送信などの新サービスを提供するには課題が残っている。そのため新しいネットワークに徐々に作り替えていく必要もある」(牧園氏)。
このほか牧園氏は「FMCサービスはIMSでネットワークを統合しなくても提供できる。最初に提供したいと考えているのは,デュアル端末とVCC(voice call continuity)を使う方式だ」と発言。VCCは,3GPPで標準化中の3Gネットワークと無線LANネットワーク間で音声呼をシームレスにハンドオーバーできる技術である。ソフトバンクが考える新サービス像を次々に明らかになった。