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日経コミュニケーション・コラム

日経コミュニケーション

【デスク河井保博が透かし見る】
「フェムトセル」が携帯電話を一変させると面白い

2006/11/20
河井 保博=日経コミュニケーション

 久しぶりにワクワクするトピックが出てきた。「フェムトセル(Femtocell)」である。スウェーデンのエリクソンが11月に発表した「ホーム・ベースステーション」が,このフェムトセルという概念に基づく(関連記事)。

 Femtoというのは,ミリやナノと同種の,単位に付ける接頭辞で,10のマイナス15乗を意味する。ナノの100万分の1,ピコの1000分の1である。一方のセルは,無線通信で一つの基地局がカバーするエリアを。つまりフェムトセルは,「非常に小さいカバーエリアの基地局を使った無線通信」という意味である。面白いのは,フェムトセルでは基地局を家庭内,あるいはオフィス・ビル内に置くことを想定している点だ。

 例えば家庭に設置する場合,フェムトセルの基地局からはブロードバンド回線を経由して携帯電話網に接続する。基地局に当たるアクセス・ポイントは,ユーザーやインテグレータ,あるいはプロバイダのような固定系通信サービスの事業者が設置することも可能になると考えられていて,家庭内,あるいはオフィス内からは無線ではなくブロードバンド回線を介して携帯電話網に接続できる。

 サービスの内容によっては携帯電話の通話料を抑えられる可能性もある。フェムトセルはユーザーから見て無線LANとほぼ同じ。むしろ,無線LAN対応の端末が不要になるからユーザーにとってはメリットが大きい。一般消費者にとっては,いわゆるFMC(fiexd mobile convergence)という新しいサービスが実現される。企業として見れば,3G(第3世代携帯電話)/無線LANのデュアル端末を使ったモバイル・セントレックス市場を席巻する存在になるかもしれない。

 ワクワクするトピックはもう一つある。高速電力線通信(PLC)である。PLC自体は新しくはないが,いよいよ日本で利用が可能になる。11月13日には,松下電器産業が国内で初めて製品を発表した(関連記事)。無線・有線を問わず,LANを敷設しなくてもネットワークを構築できる。しかも2万円前後の費用で,最大190Mビット/秒,実効速度にして数十Mビット/秒という高速な環境が手に入る。既に電力系の通信事業者は,サービス提供に向けて動き始めた(関連記事)。

 さらに言えば,データ伝送速度こそ違うものの,フェムトセルと高速PLCは将来的に競合する可能性がありそう。家電製品を中心に実装されるかもしれないからだ。例えば高速PLCについて言えば,パナソニックコミュニケーションズが2007年内にHD-PLC内蔵Webカメラを投入する。AV機器への組み込みや冷蔵庫や洗濯機などのいわゆる白物家電へのHD- PLCチップおよびモジュールの搭載を推進するという。

 対するフェムトセルでは,まだここまでの話は出てきていない。ただ,フェムトセルの競合になりそうな無線LANは,以前から家庭内での利用が取り沙汰されている。こう考えると,無線LANの適用対象になりそうな機器の一部には,フェムトセル対応の端末/アクセス・ポイントを収めてもよさそうだ。情報家電,白物家電などに組み込まれたとしても,まったく違和感はない。

 これらの技術/仕組みは,通信環境を一変させる可能性を持っている。それが,筆者がワクワク感を得ている原因だろう。日本のブロードバンド環境を一変させたADSLもそうだった。今後の展開が楽しみだ。

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