米Googleは,米司法省(DOJ)に対して行った告発が公になったことを受け,6月11日(米国時間)に詳細な内容を明かし始めた。既にGoogleは,DOJに49ページの告発書を提出し,「『Windows Vista』に搭載された検索機能が,デスクトップ検索ソフトウエアの動作を損なっている」と主張している(関連記事:Google,つまらない独禁法違反でMicrosoftを追究)。

 Googleの広報担当者は同日,「Windows Vistaの至るところに組み込まれた検索ボックスは,Microsoftのデスクトップ検索ソフトウエアと強固に連携しており,別の検索ソフトウエアを選ぶユーザー向け手段が存在しない」と述べた。Googleでは,こうした点と,MicrosoftがWindows Vista内蔵検索機能の停止を非常に難しくした行為を挙げ,「2002年の独占禁止法(独禁法)違反判決にともなう和解条件を破った」としている。

 しかし思い出してほしい。MicrosoftがWindows Vista用のデスクトップ検索機能の詳細を公表した時点で,Googleは自社製デスクトップ検索ソフトウエアをまだリリースしていなかった。Windows Vistaが発売される前に,米AppleやGoogle,米Yahoo!,Microsoftなど様々なベンダーは自社製検索アドオン製品を出していたが,Windows Vista内蔵の検索機能は2003年までに形が出来上がっており,リリースされたバージョンはWindows Vistaにきちんと組み込まれていていた。

 特に注目すべき点は,当時Windows Vistaの検索機能に,Microsoftのオンライン・サービスへのフックが全く設けられていなかったことだ。言い換えれば,この検索機能はWindows Vistaの構成要素に過ぎない。これに対し,Googleのデスクトップ検索ソフトウエアは,優位にある同社のオンライン・サービスと同様に機能し,そうした様々なオンライン・サービスと連携する。

 Microsoft顧問弁護士のBrad Smith氏は「もしも当社がWindowsにある機能を設け,何らかの手段でユーザーをそこから当社のインターネット検索機能へジャンプするようにしていたのなら,独禁法違反の議論が起こることは理解できる」と話した。

 Microsoftは「世界中のライバル企業や独禁法当局に譲歩するため,Windows Vistaに何10件もの変更を加えてきた」と不平を漏らす。「デスクトップ検索機能に法令順守面の懸念など全く存在しないと確信している。関係当局に対し,この問題の解決に向けて一層努力すると伝えた」(Microsoft広報担当者)。

 だたし,複数の州で検事総長がこの件の調査を進めており,ある程度Googleの訴えを重視しているようだ。一方,Microsoftは6月26日に,和解条件の順守状況に関する定例報告会を迎える。報告会では,新たに生じたGoogleの告発が議題として取り上げられるだろう。