State Ministry of Research and Technology Assistant Deputy Minister for Information Networking Development Engkos Koswara氏
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インドネシア政府が配布しているLinux収録LiveCD「IGOS Nusantara」
インドネシア政府が配布しているLinux収録LiveCD「IGOS Nusantara」
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 インドネシア政府は2003年から「Indonesia, Go Open Source」(IGOS)というスローガンのもと,オープンソースの普及を推進している。インドネシアで開催された第8回アジアOSSシンポジウム会場で,OSS政策の責任者である研究技術省のEngkos Koswara氏に具体的な取り組みや目的を聞いた。

---インドネシアがOSS推進政策を開始した経緯は。

 2003年,5省庁の合意により「Indonesia, Go Open Source」宣言を行ったのが正式な推進政策の開始になる。5省庁とは研究技術省,通信情報省,教育省,法務人権省,総務省だ。政府のオフィスでオープンソース・ソフトウエアを採用を推進という合意に5省庁の代表者がサインした。

---具体的にはどのような施策を行ってきたのか。

 まずコミュニティとの協力により,LinuxやOpenOffice.orgなどのデスクトップ向けのオープンソース・ソフトウエアを収録したCD-ROMを作成した。「IGOS Nusantara」と呼ぶ。Nustantaraは多くの島,インドネシア国土を意味する。2006年に2万枚を配った。正確な数はわからないが,すでに多くのオフィスにインストールされているはずだ。2007年にも2万枚を配る。

 政府機関でのオープンソース・ソフトウエア採用も進めている。すでに地方の役所のシステムでオープンソース・ソフトウエアが使われている。運転免許証のシステムやホテルの営業許可のシステムだ。

 そして今回,オープンソース推進組織POSS(Pendayagunaan Open Source Software)を設立した。14大学のネットワークでオープンソースの活用を進める(関連記事1関連記事2)。

 さらにインドネシアは,ASESAN各国にOSSを広げようとしている。2006年4月,ベトナムのハノイで行われたASEAN会合において,電子政府へのOSS適用について議論した。今年インドで開催されるハイテクサミットでも,ASESANの電子政府へのOSS適用に向けた提言を行う。

---オープンソース活用を進める理由は。

 一つはコスト削減だ。政府の予算は限られており,効率的に使われなければならない。

 もう一つの目的は人材育成だ。情報がすべて公開されているオープンソースなら,優れたプログラマ,優れた才能が育ちやすい。

 そしてもう一つの理由はクレディビリティの向上だ。我々は違法コピー・ソフトウエア問題を解決しなければならない。

 インドネシアは,2億2000万人以上の人口を持ち,約900万台のコンピュータがある。地方政府の数は416。外資系企業にとってもよいの市場だ。

 また50の大学にコンピュータ学部または学科があり,毎年大量の優れたIT人材を輩出している。

 オープンソースによって市場の透明性と人材供給力も向上していくものと期待している。

◎関連リンク
Indonesia, Go Open Source(インドネシアのOSS政策公式サイト)
IGOS Naustra(インドネシア政府が配布しているLinux収録CD)