![]() 写真●EIUの Jeanette Borzo氏 |
調査主体は,The Economist Groupの調査部門であるThe Economist Intelligence Unit(EIU)。検索ソフトの開発会社,ファスト サーチ&トランスファ(FAST)が2月7日から米サンディエゴで開催しているカンファレンス「FASTforward '07」の目玉の一つである(関連記事)。
主な調査対象は,世界の金融,IT,ライフサイエンス分野の企業。4割が北米企業である。結果を見ると,CEO(最高経営責任者)をはじめとしたエグゼクティブ・クラスの多くがWeb2.0を知っているが,「その知識量には差がある」(EIUの Jeanette Borzo氏,写真)。例えば,マッシュアップやSNSについてはみな十分に知っているが,Web2.0の構成要素の一つであるタギング(タグを付けて情報を整理すること)を知るエグゼクティブは少数派だった。
調査で見えたのが,「Web2.0は企業に必要だ」と考えるエグゼクティブ・クラスが多いこと。Borzo氏によると「特定のエグゼクティブは,一般の人よりもWeb2.0に詳しい」。
企業はWeb2.0のどんな技術や要素を導入しているのか。「すでに使っているもの」としてトップに挙がったのがブログやWikiで,32%。2番がSNSなどの「オンライン・コミュニティ」で31.08%。マッシュアップやRSSは2割程度にとどまったが,それぞれ42.0%,33.58%が,「これから使いたいと考えている」と回答した。
調査では「Web2.0を実装する上での課題や問題」についても聞いている。その結果見えてきた課題には,次のようなものがある。「経営トップの関与」。「CFO(最高財務責任者)はWeb2.0を知らない」――調査ではいわゆるCEOやCTO(最高技術責任者)など「Cクラス」の中で,CFOはWeb2.0についての関心が低いという結果が出た。このほか,「IT部門がWeb2.0の導入に必要なトレーニングを受けていない」などの課題も明らかになった。
逆にWeb2.0を成功に導く要素として,以下のものが挙げられた。「まずは実際の利用例を作ること」,「(社内の)世代間ギャップを埋めること」,「Hype Avoid(誇張を避けること)」,「Web2.0は企業では使えないと断定するのを止めること」などだ。