米Microsoftが「メディア・プレーヤ『Zune』のうち2006年11月までの出荷分には,ある曲を無線で共有できないバグがある」と認め,1月第4週になって詳細情報を公表した。Zuneには,市場トップの米Apple製「iPod」との大きな違いの1つとして,無線による楽曲共有機能がある。
Microsoftは,この共有機能がZuneに親しみやすさを与え,コミュニケーション・ツールとしてのアピールを可能にすると考えた。この機能の正式名称は「Send」(送信)だが,元々は「Squirt」(噴射)と呼ばれていた。レビューした人々の多くがこの機能を酷評し,今になってMicrosoftが最初に約束した通りに動かないことが分かった。
Microsoftは,Zuneの無線共有機能に対応している企業を対象とした文書で「(この機能は)消費者や音楽業界にとって新しい体験だ。今後も改善を続けていく」と記した。MicrosoftのZuneチームで作業しているCesar Menendez氏は,Zune Insiderのブログ記事でもう少し詳しく書いた。「送信できない曲があることは事実です。送信機能のアイデアは新しく,実装はまだ“バージョン1.0”の段階にあります。Zuneチームは今も送信技術の改善に取り組んでいて,送信できる曲を増やせるよう業界のパートナと作業を進めています」(Menendez氏)
Microsoftと音楽業界のパートナは,「レコード会社が,特定の曲をZuneの送信機能で共有できないようにしている」とのうわさに反論した。フランスVivendi傘下の米Universal Music Group(UMG)は,このうわさを否定する独自声明を出した(UMGは,Zune 1台当たり1ドルという販売ロイヤルティ支払いをMicrosoftに求めたことで評判が悪い。関連記事)。声明のなかでUMGは,「最近の不正確な記事と異なり,当社は,アーティストがZuneのサービスに参加することを禁じていません。さらに,Zuneのユーザーが楽曲を無線送信してほかの人と楽しむことも制限していません」と述べた。
Microsoftは,無線共有できない具体的な曲目についてと,なぜこのような問題が起きたかについて,いまだに詳細を明かしていない。問題を改善する予定があるかや,いつ改善するのかも発表していない。現在のところ,状況は2006年の時点と変わらず謎に包まれている。それどころか,当初考えていたよりも多くの楽曲が影響を受けるようだ。例えばZunearamaのブログによると,「Zune Marketplace」からダウンロードした50曲のうち21曲が共有できなかったという。分かっているのは,この問題がZune Marketplaceで購入した曲だけに起きることだ。ユーザーが音楽CDからリッピングした曲は,すべて正常に共有できている。