写真1 ビル内に設置した実験用のTD-CDMA E-R7の移動局装置。米IPワイヤレス製
写真1 ビル内に設置した実験用のTD-CDMA E-R7の移動局装置。米IPワイヤレス製
[画像のクリックで拡大表示]
写真2 E-R7の移動局装置を乗用車内に設置した実験の様子
写真2 E-R7の移動局装置を乗用車内に設置した実験の様子
[画像のクリックで拡大表示]

 アイピーモバイルは1月16日,都内でTD-CDMA(time division-code division multiple access)方式の拡張仕様であるE-R7(evolved release 7)による実証実験を公開した(写真1,2)。実験ではHD(High Definition)画質の動画を無線ネットワーク経由で再生するデモや,FTPによってバイナリ・ファイルをダウンロードしながらDVD品質の動画をこま落ちさせずに再生できるデモなどを実施。実測で下り10Mビット/秒超のスループットを実現していた。無線基地局を設置したビルと,移動局装置間は直線距離で100m程度。なお,E-R7の仕様上の伝送速度は下り最大42.2Mビット/秒である。

 今回の実証実験は,2006年12月8日にアイピーモバイルが総務省から受けた実験免許に基づくもの。同社が今春から開始する予定の移動体通信サービスの方式であるTD-CDMA R7とは異なる(関連記事)。E-R7は,R7の“将来版”の位置付けであり,商用化は2009年ころとしている。

 同社のE-R7の実証実験では,周波数帯として2.5GHz帯を使っている。2005年に同社が総務省から無線基地局開設の認定を受けた際に割り当てられた2GHz帯とは異なる(関連記事)。2.5GHz帯を使った理由として,「(同じ周波数を使う)モバイルWiMAXなども意識している」(小林政彦執行役員常務)と説明,既に実用レベルの無線ブロードバンド技術であることを示す意味合いもあるとした。

 E-R7は,(1)変調方式に16QAM(quadrature amplitude modulation)だけでなく64QAMを追加,(2)複数セクターが重なる部分の干渉緩和機能(G-MUD)を追加,することによって既存のR7よりも高速化を実現している。同社によると,実証実験によって移動局装置側では「下り15.5Mビット/秒のスループットを実現し,追加機能が正しく動作していることを確認できた」(技術部の脇元将仁マネージャー)としている。