「業務提携の話をしていたところに、両社の親会社である三井物産から合併をもちかけられた」。三井情報開発(MKI)の増田潤逸社長は12月21日、ネクストコムとの合併に関する記者会見で、理由をこう説明した。両社は来年4月1日に合併し、新社名を「三井情報」とする(関連記事)。さらに増田社長は、同じ三井物産系列のITベンダーである日本ユニシスについて「声をかけることもなかったし、合併する予定はない」と断言した。

 実は両社は、今年7月から業務提携の交渉を始めていたという。提携は、MKIからネクストコムに持ちかけた。それまで両社間の取引は「数千万円程度しかなかった」(増田社長)ものの、「中期経営計画を達成するために、ネットワーク関連事業の強化が不可欠と考えた。ネットワーク分野に強いネクストコムと提携が最適と判断した」(同)からだ。

 増田社長は9月にネクストコムの山本茂社長と面会。業務提携を進めようとしていた。その直後の10月、三井物産から「両社の合併を提案された。合併のメリットを考慮した結果、三井物産の意見を受け入れることにした」(増田社長)。ネクストコムの山本社長も、「株主提案として受け止め、合併を決断した」と振り返る。

 日本ユニシスとの今後の関係について増田社長は、「ある部分では競合し、ある部分では協力するというIT業界ではよくある関係」と説明。距離を置く姿勢を示した。

 新会社の社長には増田社長が就任し、新会社の設立にともない、ネクストコムの山本社長は3月30日付で退任する。新会社を率いる増田社長は、「なるべく早い時期に新会社を売上高1000億円の企業に育て上げたい」と強調した。2006年3月期決算の両社の売上高を足すと、685億1900万円。売上高1000億円の達成時期は明言しなかったが、ネットワーク関連のシステム構築を得意とするネクストコムと、システム構築事業を得意とするMKIの合併は「ほぼ完全な補完関係にある。相乗効果は出しやすい」(増田社長)ことから、「数年以内には達成したい」と語った。