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 「11月最初の3連休を無事に終えた。何とか峠を乗り越えることができた」。ソフトバンクの孫正義社長(写真)は11月8日、2007年3月期中間決算の発表会で、10月28日と29日に発生したソフトバンクモバイルでのシステム障害(関連記事)が事実上、終結したとの考えを示した。

 孫社長は、「携帯番号ポータビリティ(MNP)は我々にとっても初めての経験。実際にスタートしてみると、ソフトバンクモバイルへの転入や他の通信事業者への転出、既存顧客の新料金プランへの変更、機種変更などが重なり、想定以上のトラフィックが発生してしまった」と改めてシステム障害の原因を説明。その上で、「MNPシステムと基幹系システムの接続方法を変更したり、処理能力を増強したりするなど抜本的な解決を図った」(孫社長)。

 また11月1日から5日までは、機種変更などの手続きを停止していたが、これを6日から再開。同日には、通常の4倍に上る件数を処理したという。「ソフトバンクはもともと、コンピュータやITが本業である。プライドにかけて頑張っていきたい」(孫社長)。今回のシステム障害の責任問題については、「システム部門の担当者がさぼっていたわけでも、失敗したわけでもない。責任はすべて自分にある」と話した。

 MNPを巡るシステム・トラブルが発生した今年10月の、ソフトバンクモバイルの契約者数は2万3800件の純増に終わった。MNPについては、転入は3万1100件で転出が5万5000件で、2万3900件の契約者減だった。この結果について孫社長は、「2週間前に新料金プランを発表するまでは、どのアンケート調査もメディアも、当社が草刈り場になって、MNPでユーザーが激減するのではないかと予想していた。だが現実には、トータルの契約者数は純増した。他の通信事業者から当社に切り替える際には、番号が変わってもよいと考え、MNPを利用しないお客様もいらっしゃることも考慮すべきだし、危機的状況は避けることができた。立ち上がりのゴタゴタがなければ、もっと契約者数が増えたかもしれないとは思うが、これはだれにも分からないことだ」と語った。

 ソフトバンクの2007年3月期中間決算は、連結売上高で前年同期比114.3%増の1兆1201億7300万円、営業利益で同2457.8%増の1125億5200万円の増収増益である。買収したボーダフォンの事業が大きく業績に貢献し、「創業以来の利益水準を達成した」(孫社長)。