写真1 ACCESS DAY 2006で講演するKDDIの小野寺正・代表取締役社長兼会長
写真1 ACCESS DAY 2006で講演するKDDIの小野寺正・代表取締役社長兼会長
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写真2 新しい企業ロゴを発表するACCESSの荒川亨・代表取締役社長兼最高経営責任者
写真2 新しい企業ロゴを発表するACCESSの荒川亨・代表取締役社長兼最高経営責任者
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 KDDIの小野寺正・代表取締役社長兼会長(写真1)は10月12日,都内で開催された「ACCESS DAY 2006」で講演。10月24日から始まるモバイル番号ポータビリティなどの話題とともに,現行の電波利用料について「使われ方によって電波利用料の料金を変えてもらわないと困る」と苦言を呈した。電波利用料とは電波の利用環境の維持などを目的とし,放送事業者の放送局や電気通信事業者の基地局などの無線局が負担する料金。携帯電話の場合は,1台につき年間420円の電波利用料がかかり,この料金は原則ユーザーの月額料金から徴収されている。


 小野寺社長が電波利用料に触れた背景にあるのが,機器に組み込まれる携帯モジュールの増加。電気通信事業者協会(TCA)が10月6日に発表した9月末の携帯電話加入数によると(関連記事),「単月の純増数のうち,1割が組み込みのモジュールになっている」と小野寺社長は指摘。「携帯電話が電話という単体のものから新しい方向に向かっている」と続け,携帯モジュールが携帯電話市場を広げるものとの期待を述べた。


 ただし小野寺社長は「夜中に1回しか発呼しない自動販売機に組み込まれたモジュールでも,電話番号を取得したとたん年間420円の電波利用料がかかってしまう。セコムが採用している,緊急時だけしか使わないモジュールでも同様の料金がかかる」とモジュール市場の現状を説明。年420円は,月額にすれば35円とわずかとはいえ,数量が見込めてコストに厳しいモジュールの市場では「この35円は非常に大きな問題」(小野寺社長)だと述べた。


 一方,モバイル番号ポータビリティについて小野寺社長は,「番号ポータビリティが始まると騒いでいるが,基本的な戦略や戦術は変わらない。いったん導入されればずっと続いていくもの」と従来からの主張を繰り返した。


 「ACCESS DAY 2006」は,組み込み機器向けネットワーク・ソフトウエア大手のACCESSが主催するプライベート・イベント。小野寺社長の基調講演に先立ち登壇したACCESSの荒川亨・代表取締役社長兼最高経営責任者は,20年近く使い続けた同社の企業ロゴ・マークの刷新を発表(写真2)。あわせて同社子会社である米パームソースの社名も,アクセス・システムズ・アメリカに変更することを説明した。