ソフトバンクBBが,電力線を利用したブロードバンド通信の実証実験を7月14日から開始した。東京・汐留にあるソフトバンクBB本社ビル内の一室に電力線ブロードバンドの設備を設置して,10月31日まで電波ノイズの低減技術について実証実験を行う。「実験を通じて,無線LANの電波が届かない部屋でブロードバンド通信を利用する手段として,電力線を活用できるか検討する」(ソフトバンク)。実験で利用する機材を提供するメーカーは非公表とした。

 商用化については,「現時点では未定。実証実験の結果,有効性を確認できたら検討する」(ソフトバンク)。実証実験では,装置に工夫を加えることで電力線から漏えいする電波をどれだけ低減できるか確認する。同時に,期待できる通信速度についても実験を通じて調査する見込みだ。

 電力線ブロードバンドは,2M~30MHzの周波数帯の信号を宅内の電力線に流して通信する技術。パソコンや家電をコンセントにつなぐだけで,高速なLANを構築できるとして注目を集めている。ただし,電力線から電波が漏えいして,航空管制や短波放送,電波天文,アマチュア無線などに干渉を及ぼす恐れがある。そのため,総務省は信号電力を規制する方針で,6月29日にはその規制値がほぼ固まった(関連記事)。

 なお,現在の総務省の方針では,電力線ブロードバンドが利用できるのは屋内に限られる。そのため,LANとしての利用に限られ,アクセス回線として使われるADSL(asymmetric digital subscriber line)やFTTH(fiber to the home)の代替にはならない。