NTTドコモは、2006年秋に発売予定の「FOMA 90xiシリーズ」新機種において、全地球測位システム(GPS)のモジュールを搭載した機種を大幅に拡充する考えを示した。同社が2006年7月4日に開催した新製品発表会(ITpro 関連記事Tech-On! 関連記事)に登壇した、同社 プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部 マーケティング企画 サービスマーケティング担当 主査の増田智子氏が日経パソコン誌記者に語った。

 携帯電話機のGPS対応をめぐっては、競合であるKDDI(au)が歩行者/自動車向けのナビゲーションサービス「EZナビウォーク」を広く展開しており、同社が販売する携帯電話機のほとんどがGPSモジュールを内蔵している。一方でNTTドコモは、同様のサービス「iエリア」を提供してはいるものの、GPSモジュール内蔵機種は「FOMA SA700iS」「同 SA800i(キッズケータイ)」と、2006年夏に発売予定の「同SA702i」の3機種にとどまる。それ以外の機種でもiエリアは利用できるが、GPSではなく携帯電話の基地局からの電波を基に測位するため、測定誤差が数十m~数百mと大きい。

 競合と比較してラインナップや性能が乏しいことに加え、携帯電話にGPS機能の搭載が義務化されることも、機種拡充の大きなきっかけとなる。携帯電話機から110番/118番(海上における事件・事故の緊急通報用電話番号)/119番への緊急通報が増加していることを踏まえ、総務省は、2007年4月以降に発売される第3世代携帯電話(3G)の音声端末の全機種において、緊急通報時に位置情報を送出する機能を義務づける方針で、既に関連する政令(事業用電気通信設備規則)の改正も公布済みなのだ(発表資料)。こうした背景を踏まえ、これまで携帯電話におけるGPS関連サービスに消極的だったNTTドコモも、この秋からGPS携帯を本格的に投入してくるようだ。

「旧機種の在庫はあくまで一時的現象、戦略的なものではない」

 NTTドコモはじめ携帯電話機メーカー各社は、2006年に入り新機種を相次いで投入している(関連記事1関連記事2)。この結果、総契約数が9000万を超え飽和状態と言われる市場において、新規加入台数、買い替え台数ともに増加させてきた。一方でここ数カ月は、売れ残りの旧機種が1円といった低価格で販売されるなど、不良在庫の存在が目立ち始めている。特にNTTドコモの場合、豊富なラインアップで量販店の売り場スペースを広く確保している半面、「FOMA 901iSシリーズ」や「同701iシリーズ」など、現行製品から2代前の製品が未だに店頭に残っているのが現状だ。

 これについて増田氏は、「番号ポータビリティー制度(MNP)を前に販売を増やしたいのは事実だが、そのために意図的に旧機種の在庫を積み増し、それを値引きしている事実はない。安値での販売は販売奨励金(インセンティブ)の支払いという形で当社に跳ね返ってくるので、当社としては避けたいと考えている」とした。その上で、「在庫管理は非常に難しい問題。例えば新機種の発売が遅れた場合、従来機種の追加発注を端末メーカーに依頼することもある。FOMA 70xiシリーズに関しては、初代の700iのころから徐々に積み重なった在庫が、現状の在庫水準を作り出す元凶になったといえる。とはいえ現時点では、従来機種は在庫限りで販売終了としており、今後1~2カ月で不良在庫は解消すると見ている」との見解を示した。

■変更履歴
記事掲載当初、NTTドコモのGPSサービスとして「イマドコサーチ」をあげていましたが、「EZナビウォーク」に対するサービスとしては「iエリア」の方がふさわしいので、こちらに修正します。本文は修正済みです。[2006/07/04 21:50]