日本オラクルは6月26日、今年度のCRM(顧客関係管理)ソフトに関する戦略を発表した。しかし、「今のところ、製品のバージョンアップや新サービスの提供時期は未定」(日本オラクルのアプリケーションマーケティング本部長である藤本寛執行役員)である。

 これまで日本オラクルと日本オラクルインフォメーションシステムズは、米オラクルが元々持っていたCRMソフトや、旧ピープルソフトのCRMソフトを販売してきた。新戦略の骨子は、買収した米シーベルシステムズのCRMソフトを中核に販売するというもの。中でもASPサービスで提供する「CRM On Demand」を中小企業向けに提案していく点が目玉である。ただし提供時期については、「パートナ企業との調整が終了次第」(藤本氏)とコメントするに留めた。このサービスは米国では既に、「Oracle CRM On Demand Release 10」として提供を開始している(本誌既報)。Oracle CRM On Demand Release 10は、旧シーベルシステムズがASP形式で提供していた「Siebel CRM onDemand」を基に機能拡張をしたもの。なお旧シーベル日本法人も、このサービスを本格展開していなかった。

 日本では、ASPサービスの提供と同時期に、運用支援サービス「Oracle On Demand」にシーベル製品を保守・運用するメニューを追加する予定である。また、大企業には「Siebel Enterprise Edition」を、中堅企業には「Siebel Professional Edition」を提案していく。

 さらに、シーベルのCRMソフトのバージョンアップを「遅くとも今年度(2006年6月から07年5月)中」(藤本氏)に予定していることも明らかにした。新版では、オラクルのERPパッケージ(統合業務パッケージ)などとの連携機能を追加する。この機能は、「Project Genesis」という開発コード名で呼ばれていた。「2008年に提供する既存のアプリケーション製品を統合した『Oracle Fusion Applications(OFA)』の前に、両社が統合した価値を享受してほしい」(藤本氏)。