写真 公開討論に臨んだ民間開放・規制改革会議で議長を務める宮内義彦・オリックス会長(左)と竹中懇談会の座長である松原聡・東洋大学教授(右)。
写真 公開討論に臨んだ民間開放・規制改革会議で議長を務める宮内義彦・オリックス会長(左)と竹中懇談会の座長である松原聡・東洋大学教授(右)。
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 政府の規制改革・民間開放会議は6月5日,竹中平蔵総務大臣が主催する「通信・放送の在り方に関する懇談会」(竹中懇談会)の松原聡座長(東洋大学教授)らと公開討論を行った。

 竹中懇談会は6月1日に最終報告書案を示したばかり(関連記事1)。一方の規制改革会議は,5月30日に論点整理を発表した(関連記事2)。両者とも,NTTやNHKの組織改革のほか,通信・放送に関連する法制度の在り方などを取り上げている。

 公開討論では,まず松原座長が竹中懇談会の「報告書案」を紹介。さらに規制改革会議の鈴木良男議長代理(旭リサーチセンター代表取締役会長)が規制改革会議の意見を取りまとめた「論点整理」を紹介した。その後,意見交換を行ったが,双方ともに「考え方はほぼ一致している」という見解を明らかにした。例えばNTTの組織に関しては,早期にボトルネック性のあるアクセス部門の機能分離を推進。2010年までにはNTT法を廃止し持ち株会社制を撤廃すべきという方向性で一致している。

 規制改革会議の議長を務めるオリックスの宮内義彦会長は冒頭あいさつで,「規制改革会議でも以前から通信と放送の問題を重要項目に位置付けてきた。松原座長もご苦労があったでしょう」と労った。議長以外の委員からも,「竹中懇談会の方向性には賛成」,「画期的な仕事をした」などの発言が相次ぎ,方向性の一致を強調した格好だ。

 会合終了後の会見には,宮内議長と鈴木議長代理がそろって登場。7月にも規制改革会議としての答申をまとめて,閣議決定に諮る方針を明らかにした。規制改革会議の取りまとめの実行力に話題が及ぶと,鈴木議長代理は「(NHKやNTTなどについて)これまで何度も同じような答申を書いてきたが実行には移されなかった。答申が閣議決定されても反古にされるのはどういうことなのか」と憤りをあらわにした。

 竹中懇談会と見解の一致をみた規制改革会議は,その実行力を発揮できるのか。明日6月6日には竹中懇談会の最終会合が控えている。規制改革会議の後押しを得た懇談会が,最終報告書をどうまとめるのか注目したい。