写真 情報通信審議会 情報通信技術分科会 広帯域無線アクセスシステム委員会第2回会合の様子
写真 情報通信審議会 情報通信技術分科会 広帯域無線アクセスシステム委員会第2回会合の様子
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 総務省は6月5日,「情報通信審議会 情報通信技術分科会 広帯域無線アクセスシステム委員会」の第2回会合を開催した(写真)。同委員会は,2.5GHz帯に無線ブロードバンド・システムを導入する際の技術的条件を検討する場。総務省は5月8日から5月26日にかけて,広く意見陳述を募集していた。これを受け,韓国のサムスン電子やクアルコムジャパン,アイピーモバイルなどが委員会に対して意見を述べた。

 サムスンは韓国で6月からサービスを開始したWiBroについて説明。WiBroは,モバイルWiMAXに関する規格であるIEEE 802.16eに基づいたサービスで,一部韓国の独自規格も含まれる。移動しながら基地局をまたいだ通信を実現するハンドオフについては,「現状では時速110kmまで可能。もう少し最適化すればさらに高速移動通信ができる」(同社移動通信マーケティング・グループのYang Kiho部長)と説明。既に利用実績があるWiMAX関連技術を日本でも採用するよう促した。

 IEEE 802.20を推進するクアルコムは,2.5GHz帯の割り当てについて「加入者見合いの段階的な周波数の割り当てを想定したフレームワーク作りが必要」(クアルコムジャパンの山田純・代表取締役社長)と主張。アイピーモバイルは,同社が2GHz帯で進めているTD-CDMA(time division-CDMA)方式を2.5GHz帯での技術検討対象に含めるよう要請した。

 2.5GHz帯で使う技術方式は,(1)モバイルWiMAX,(2)IEEE 802.20,(3)次世代PHSの3種類が候補に挙がっている。これらが候補に挙がったのは,今年1月に総務省が主催するワイヤレスブロードバンド推進研究会(WBB推進研究会)がまとめた報告書に基づく。WBB推進研究会では,利用シーンごとに適した無線技術を想定しており,この(1)(2)(3)は,「利用シーン2」と呼ぶ環境を想定。これは,家庭でのブロードバンド環境を出先でも享受できるような無線通信環境を指しており,走行中の新幹線でも使えるような携帯電話並みの高速移動時通信や,エリアの全国展開は要求していない。

 その結果,第3世代携帯電話の技術方式に分類されるTD-CDMAは候補から漏れた。一方クアルコムは,WBB推進研究会が想定する「利用シーン2」の枠組みだけでなく,携帯電話の技術としてもIEEE 802.20系の技術を広めたいとする立場にある。そのため技術検討の場では,周波数利用効率の算出基準などを巡り,WiMAX陣営と意見がかみ合わない場面が見られた。

 第3回会合は9月を予定しており,それまでに同委員会の実務を担う作業班で,各技術方式と衛星通信システムとのガードバンド幅などが検討される。なお,作業班は第4回会合まで実施されており(関連記事),ガードバンド幅を策定する際の計算方法などの協議に入っている。