総務省は5月26日,2.5GHz帯を使った無線ブロードバンドの技術条件を議論する「広帯域移動無線アクセスシステム委員会 技術的条件作業班」の第4回会合を開催した。議題は前回会合(関連記事)に引き続き,(1)各技術方式の周波数利用効率と(2)隣接する衛星システムとのガードバンド幅,の二つ。

 (1)は,「WiMAX検討グループ」,京セラ,クアルコムジャパン,ウィルコムの各社が周波数利用効率の算出条件を報告した。IEEE802.20(MBTDD Wideband)を推進するクアルコムジャパンは,IEEE802.16e(モバイルWiMAX)の周波数利用効率に対する独自の評価結果を提示。「IEEE802.16eはワイヤレス・ブロードバンドの適合基準を満たすとは言えない」と主張するなど,激しい議論が展開された。

 実は,第2回会合(関連記事)でもクアルコムジャパンがIEEE802.16eの周波数利用効率に関する独自のシミュレーション結果を提出し,議論が紛糾した経緯がある。その内容に対して,WiMAX検討グループのモトローラが第3回の会合で反論。このモトローラの見解に対してクアルコムジャパンが再反論したことになる。

 こうした議論の応酬になる要因は,算出条件の違いから来ている部分が多い。構成員からは「議論の第一目的は各方式がワイヤレス・ブロードバンドの要求条件を満たしているかどうか。各方式の良し悪しの議論をいつまでも続けるのはどうか」との声が出てきた。作業班の主査を務める電波産業会の若尾正義・専務理事も「技術的に深い部分でいろいろ議論はあると思うが,無線ブロードバンドの要求条件に見合うかどうかについて,そろそろ具体的なとりまとめに入る必要がある」とした。

 (2)のガードバンド幅に関しては,干渉を検討するに当たって前提となるモデルや計算方法のすり合わせを実施している最中。具体的な検討に入るのは,次回以降になる。次回の会合は未定。6月5日に開催する親会で作業班の検討状況を報告する予定だが,「これまで確たる結論は一つも出てないので,状況報告だけになる」(若尾主査)。