写真 米アイアンポート システムズ ワールドワイドマーケティング担当上級副社長のトム・ギリス氏
写真 米アイアンポート システムズ ワールドワイドマーケティング担当上級副社長のトム・ギリス氏
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 電子メール・セキュリティの分野でトップシェアを誇る米アイアンポート システムズ。「SenderBase」と呼ぶ同社のレピュテーション・サービスは,迷惑メールで課題だった“なりすまし”対策で脚光を浴びた。同社はこの4月,従来のIronPort Cシリーズと異なる新しいラインアップ「IronPort Mシリーズ」,「IronPort Sシリーズ」を発表した。Mシリーズは迷惑メール対策アプライアンスの集中管理,Sシリーズはスパイウエア対策に,それぞれ威力を発揮するものだ。トム・ギリス ワールドワイドマーケティング担当上級副社長(写真)に新製品のコンセプトや製品の特徴を聞いた。(聞き手は小野 亮=日経コミュニケーション

--新製品の位置付けは。

 IronPort Mシリーズは,IronPort製品を複数台使用する場合に効果を発揮するアプライアンスだ。「複数台の迷惑メール対策アプライアンス製品を集中管理したい」という顧客サイドのニーズから生まれた製品である。日本語版は4月下旬に出荷した。当初は迷惑メール保存領域を大容量化した「スパム検疫機能」を提供し,レポートの集中管理,ポリシー集中管理,メッセージ監査の集中管理などの機能を順次拡大していく予定である。

 もう一つのIronPort Sシリーズは,アプリケーション・プロキシ機能を備えたWebセキュリティに特化した製品。ウイルス対策やスパイウエア対策などのセキュリティ機能を提供するほか,ストリームの高速スキャニング,Webレピュテーションとの連携,マルチベンダーのシグニチャ対応など,他社製品には無い特徴を備える。

--Webレピュテーションとはどういうものか。

 Cシリーズで提供している当社のSenderBaseを,Webアクセスに応用したものだ。このSenderBaseには,Webサイトがいつ登録されたのか,使用しているIPアドレスは動的なものか,Webサイトは危険なサイトかどうか,などの評価情報を持つ。システム管理者はこの評価を基にして,スパイウエアのダウンロードなどを防ぐことができる。

 使い方やアーキテクチャは,迷惑メールのレピュテーションと似ている。評価情報の基になるスコア値は「−10(悪い)~+10(良い)」で表す。しきい値のカスタマイズは可能だが,デフォルトでは+4以上を良質なWebサイトとしている。良質ではないWebサイトだけをスキャンする。

 しかもスキャン・エンジンは,ストリーミングなどのスキャンを並列処理で実行するため,高速なスキャニングが可能だ。つまりIronPort Sシリーズは,高速かつ安全なアクセス環境を実現できるわけだ。

--レピュテーションには日本の情報も含まれるのか。
 SenderBaseは,日本も含めてワールドワイドで20万以上のIPアドレスを使ってチェックする。世界中を流れる電子メールのうち,実にその25%のトラフィックを監視している。

 評価付けは100以上のパラメータによって行っているが,メールの場合は送り方(振る舞い)を見て判断している。つまり利用する言語に左右されないというのがSenderBaseの特徴でもある。