2月14日,主要なブロードバンド事業者の2005年12月期決算がそろった。ここから各社のADSLサービス加入者数が四半期ベースで減少もしくは伸びが大幅に鈍化していることが分かった。

 今回,加入者数が純減となったのは,業界4位のアッカ・ネットワークス。2005年12月末で個人向けのADSLサービスが同年9月末から1万5000減らして124万2000加入となった。同社はインターネット接続事業者(ISP)向けにADSL回線を提供しているホールセール事業者。ISPを通して契約しているユーザーがNTT地域会社や電力会社系,アッカ自身が提供するFTTHサービスへと乗り換えたためと見られる。

 同様にADSLのホールセール事業者である業界3位のイー・アクセスは2005年12月末で189万5000加入。同年9月末から2万5000加入と小幅の伸びに留まった。状況は業界2位のソフトバンク・グループも同様だ。「Yahoo! BB」は2005年12月末で500万7000加入と大台を突破したものの,前四半期からの上乗せは3万5000。前年10~12月の16万8000から5分の1の規模だ。

 業界1位のNTT東西地域会社は地方部での強みを生かし,フレッツ・ADSLで他事業者を上回る9万3000加入を2005年12月までの3カ月間で獲得。合計566万9000とした。ただし他社と同様に伸びは鈍化している。純増数の規模は前年10~12月の約3分の1となった。

 このようにADSLの加入者が従来に比べて減少している背景には,ユーザーのFTTHへの移行がある。NTT東西地域会社のFTTHサービス「Bフレッツ」が大きな影響を与えている。

 Bフレッツは2005年12月の時点で281万5000加入。同年9月末に比べて45万9000加入もの上乗せとなった。つまり,各社のユーザーがBフレッツなどのFTTHへと乗り換えることで,ADSLの加入数が減っていると見られる。特に3月から4月は引越しのシーズン。このタイミングでADSLからFTTHに乗り換えるユーザーが増えれば,アッカ以外の事業者のADSL契約も純減へ転じる可能性がありそうだ。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション