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 ファイアウォール製品の「VPN-1/FireWall-1」で知られる米チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ。強みとも言えるこの理解を「変えたい」というのが,同社の最高マーケティング責任者ケネス・フィッツパトリック氏だ。3日午後の基調講演を控えた同氏に,転換期を迎えたセキュリティ・ベンダー老舗の今後を聞いた(聞き手は高橋 秀和=日経コミュニケーション)。

---チェック・ポイントは技術指向の会社だと認識していたが

 これからは「安全なリモートアクセス」といったように,ビジネスの課題に対するソリューションをアピールしていく。これまでセキュリティ技術に特化した企業として,製品や技術を前面に押し出してきた。しかしIPsecやSSL-VPNといったキーワードは,企業が抱える問題をどう解決するのかが分かりにくい。これを改める。

 今フォーカスしているのは,法令遵守(コンプライアンス)だ。コンプライアンスを証明する手段として,情報の可視化が欠かせない。コンプライアンスの実現を訴求するために,これまで以上に技術を磨く。我々のクライアント向けセキュリティ対策スイート「ZoneAlarm」は3500万台のコンピュータにインストールされており,それらのコンピュータが直面するセキュリティ上の脅威を分析・解析した知識や情報が基になる。その知見はパートナ企業にも開示していく。

---コンプライアンスをうたうようだが,世界市場における地域ごとの温度差はあるか

 欧米ではSOX法など,コンプライアンスを義務づける法律がすでに施行済みだ。日本はこれから,日本版SOX法という形になるかどうかは分からないが,同様の体制が整うはずだ。

 もっとも日本国内にも地域差はある。積極果敢に先端技術を取り入れるのが大阪,冷静に見極めてから導入するのが東京,といった具合だ。こうした傾向をふまえたマーケティング施策とWebサイトの日本語化に今後は力を入れる。

---一部で外部から制御できるトロイ「ボット」の脅威がささやかれている。将来のセキュリティ危機への警鐘は。

 もちろん取り組んでいく。全世界で3500万台のZoneAlarmが稼働しているという事実は,セキュリティ上の危機に対する早期警戒システムのようなものだ。2005年10月には攻撃検知ツール「Snort」で知られる米ソースファイアを買収した。買収が完了すれば,Snortを使うセキュリティ専門家のコミュニティからの情報が得られる。これらの情報をパートナや顧客と共有することで,脅威の可視化が可能になるはずだ。