東西NTT地域会社は1月17日,固定電話のサービスを広くあまねく提供するための制度「ユニバーサルサービス基金」の交付を初めて申請した。制度に基づいて割り出した不採算地域の固定電話サービスの費用を,通信事業者全体で負担することとなる。

 ユニバーサル・サービス基金の制度は従来から存在していたが,東西NTTは交付の申請をしてこなかった。これに対して,総務大臣の諮問機関である情報通信審議会(情通審)が2004年末から制度の改定を議論し改定。今回,東西NTTが申請したことで,2006年度から新制度が実際に稼働することとなった。

 新しいユニバーサル・サービス基金の制度は,東西NTTの各固定電話のサービスが赤字となることをトリガーとして,制度で定めた不採算地域の回線に対して拠出される。具体的には,加入電話の基本料金,公衆電話の市内通話,緊急通報,離島特例通信が対象となる。今後,2005年度の収支を計算し,赤字となった場合に,それぞれのサービスに対して2006年度の基金が拠出されることとなる。

 なお,東西NTTは2004年度のデータで試算を公表している。これによると,公衆電話の市内通話の収支が赤字となり補てん対象となり得るという。また,加入電話の市内通話の収支が仮に赤字となった場合,補填対象となる不採算地域の回線は全体の43%の3070局。250万回線だという。全国平均の1回線当たり月額2421円に対して,不採算地域は同月額6222円かかっているという。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション