写真1 NTTドコモの中村維夫社長
写真1 NTTドコモの中村維夫社長
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 NTT民営化20周年を記念したイベント「NTTグループ コミュニケーションEXPO」で12月22日,NTTドコモの中村維夫社長が講演(写真1)。「『生活ケータイ』の実現について」と題したプレゼンテーションの中で,日本の携帯電話市場はまだ伸びる可能性があるとの見方を示した。

 日本の携帯電話の契約数は2005年9月末,中国,米国,ロシアに次いで第4位となり,昨年まで3位だった日本がロシアに抜かれるなど新興市場の伸びが著しい状況を説明。また,イタリア,イギリス,スペインは携帯電話の普及率が100%を超えていることにも言及し,この数値はプリペイド型携帯電話が一人複数台の所有を後押ししていると分析した。

 一方,日本の携帯電話普及率は70%程度で既に頭打ちとの見方もあるが,「NTTドコモの契約数のうち10%近くは法人ユーザー。個人用と併せて1人2台持っているユーザーも多い」と指摘。「個々人に対する携帯の普及率の実態は60%程度ではないか。これからも日本市場は伸びる可能性がある」との見方を披露した。

 法人向けには,無線LANとFOMAのデュアル端末「N900iL」を使ったソリューションをあらためて紹介。1台の端末で屋内は無線LANで固定網に接続し,屋外では携帯といった使い方がますます普及すると説明した。加えて「家庭に無線LAN環境があれば1台の端末で(法人向けと)同じことができる。そういった時代に備えていきたい」とし,固定通信と移動通信の融合であるFMC(fixed mobile convergence)への取り組みにも言及した。

 また,21日に出資を発表したフジテレビジョンとの関係にも言及した。2006年4月から始まる携帯機器向け地上デジタル放送「ワンセグ」向けに,「今は(放送局側が決めたスケジュール通りに放送する)サイマル放送だが,今後そうした放送の在り方も変わってくる。それに向けてフジテレビジョンと組むことで新しいジャンルを開拓していきたい」との意気込みを述べた。

 中村社長は携帯電話が通信インフラから,メールやインターネット接続のためのITインフラを経て,現在は「おサイフケータイ」や携帯音楽プレーヤーなど生活インフラへと発展する説明。「これからもさまざまな企業とコラボレーションを組んでいきたい」とし,携帯を通信以外の用途に広げていくための意気込みを示した。

(大谷 晃司=日経コミュニケーション