写真1 NTTグループの“1社独占”を非難するKDDIの小野寺正社長
写真1 NTTグループの“1社独占”を非難するKDDIの小野寺正社長
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 KDDIの小野寺正社長は12月21日に開催された定例会見で,NTTグループが11月9日に発表した中期経営戦略を痛烈に批判した(写真1)。

 小野寺社長は「事実上はNTTの1社独占体制に戻るのと同じ」と断言。NTT東西地域会社,NTTコミュニケーションズ(NTTコム),NTTドコモ,NTTデータの5社を資本分離すべきと主張した。

 こうした主張は,NTTグループが発表した事業会社間の重複事業を解消するための事業再編や,次世代ネットワークを東西NTTとNTTドコモで共同構築することなどを受けてのものだ。

 加えて小野寺社長は,「NTTグループと当社の売上高では,3倍以上の開きがある。業界1位と2位にこんなに開きのある業界はどこを探しても存在しない」と通信業界の“異常さ”を指摘。「NTTグループの購買力は強力。NTTコムと(サービスの優劣や価格を)競って敗れるのなら納得できるが,『東西NTTとの取引に支障がでる』という(顧客側の)理由で負けるのは納得がいかない」として,資本分離の必要性を重ねて強調した。

 総務省では現在,通信政策や制度の大幅な見直しを検討する「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」を進めている。小野寺社長は,「懇談会でもNTTグループの在り方について議論すべき」としている。

(山根 小雪=日経コミュニケーション