総務省は電話設備を持たない事業者が,携帯電話事業へと参入できるMVNO(仮想移動通信事業者)のルール作りを本格化する。まず12月20日に,総務省が考えるMVNOのビジネスモデルを公表する。

 具体的には,MVNOの定義や事業者間の接続条件や義務などについて,一般からの意見を求め検討していく。総務省はMVNOの本格導入に向けて,2006年初頭から本腰を入れる考え。意見募集はそのたたき台とする。MVNOのガイドラインは2002年に作成したものがあるが,「当時とは状況が大きく変わっている」(総務省幹部)。今のところ,総務省は旧第2種通信事業者の業界団体テレコムサービス協会が立ち上げた「MVNO協議会」と連携することで,MVNOの可能性を検討している。

 MVNOへの設備提供は,今のところPHS事業者のウィルコムが取り組んでいる。総務省はウィルコムに加えて,携帯電話に新規参入するイー・アクセスやアイピーモバイルなどMVNOに前向きな事業者を想定してルール作りを進める。ただし議論の方向性によっては,MVNOに慎重な姿勢を見せるほかの携帯電話事業者に飛び火する可能性もある。

 MVNO協議会は総務省の意見公募を受ける格好で,12月21日午後にパネルディスカッションを開く。アイピーモバイルやイー・モバイル,インデックス,インフォシティ,日本通信,ボーダフォン,モバイル・コンテンツ・フォーラム,総務省がパネリストとして参加する。モデレータは佐藤治正・甲南大学経済学部教授が務める。同パネルディスカッションの事務局はテレコムサービス協会。一般にも広く公開する。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション