EditNetの野口尚志代表取締役
EditNetの野口尚志代表取締役
[画像のクリックで拡大表示]

 インターネット接続事業者(プロバイダ)のEditNetは10月21日,同社のネットワークからの迷惑メール送信をしにくくする対策を試験的に行うと発表した。11月1日からで,実施内容はメールの送信に使うTCPの25番ポートについて(1)同時接続数を制限する,(2)接続を若干遅延させる--の2点。

 既に一部のプロバイダは迷惑メール対策として,Outbound Port 25 Blockingと呼ぶ25番ポートの通信を遮断する施策を実行している。ただしこの対策を実施したプロバイダの会員は,「勤務先などプロバイダ外のメール・サーバーを使って送信することができなくなる。代替案もあるが,接続先のメール・サーバーが対応している必要がある」(野口尚志代表取締役,写真)。その代替案とは,Submissionポートと呼ばれるTCPの587番ポートを使ってメール・サーバーに接続し,SMTP認証をクリアする仕組みを使うというものだ。

 また同社は,「迷惑メールの送信者が多く使うためとの理由で,電気通信者が一般の利用者を含めてポートの規制を一律に実施することには賛否両論がある」と,これらを採用しなかった理由を挙げている。

 今回実施する二つの対策は,一般のメール利用者と迷惑メール送信者のメール送信方法の違いを生かしている。一般の利用者はメール・ソフトから1つずつSMTPセッションを張ってメールを送信していくのに対し,迷惑メール送信者は多くのメール・サーバーに対して同時にSMTPセッションを張ることを試みる。今回発表した対策を実施することにより,一般ユーザーがメールを送信する際に要する時間が若干かかるようになるが,なるべく一般ユーザーへの影響を避けながらメールの送信量を制限できると見ている。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション