写真1 2005年度上期決算を発表するKDDIの小野寺社長
写真1 2005年度上期決算を発表するKDDIの小野寺社長
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写真2 KDDIの固定網と携帯網の中期的な統合戦略
写真2 KDDIの固定網と携帯網の中期的な統合戦略
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 KDDIは10月21日,2005年4月から9月までの2005年度上期の連結決算を発表した。これによると上期の売り上げが前年同期比0.2%減で1兆4687億円となったが,純利益が30.3%増の1014億円,営業利益は2.6%増の1666億円となった。「利益が半期で1000億円を超えたのは初めてで,過去最高益」(小野寺正社長)という(写真1)。

 収益増を牽引するのは,従来通り携帯電話のau事業。売り上げが前年同期比で10.4%増,利益が同29.0%増と好調を維持している。全社売り上げの4分の3をauが占め,利益の面で他事業の赤字を埋めている格好だ。

 直収電話サービスの「メタルプラス」については,2005年9月の時点で68万回線であることを明らかにした。目標は2006年3月に220万としており,小野寺社長は「エリア拡大の遅れが影響している」との不満を示した。メタルプラスの拡販で固定通信事業の2005年度上期の営業利益は295億円の赤字となった。

 小野寺社長は,KDDIの中期的な経営戦略についても示した。

 まず2006年1月にパワードコムと合併することを示した上で,来年度となる2006年3月以降に東京電力とFTTHサービスを展開していくとした。また,固定網と移動網の統合についても,方向性を示した(写真2)。このほか,次世代の携帯電話で無線LANベースの技術,IEEE802.16eを搭載することも明らかにした。

 なお,小野寺社長は決算発表に先立って,旧ツーカー・グループのユーザーに提供している,auへの同じ電話番号での移行作業が遅れていることを報告した。受付数が予想以上に多かったことが原因で,現在受付を停止している。今後,体制を見直して再開するという。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション