写真1 基調講演に立つNTTの和田紀夫社長
写真1 基調講演に立つNTTの和田紀夫社長
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 本誌は10月19日から20日まで「日経コミュニケーション20周年記念フォーラム」を開催。初日の基調講演でNTTの和田紀夫社長は「現在の情報通信の世界で独占が成立することは不可能」と主張し,最近高まりだしたNTTグループの再々編や連携強化への批判をけん制した。

 和田社長は「『NTTグループが連携を強めて市場を独占しようとしている』との批判があるが,固定通信,携帯電話ともに多くの事業者が登場している。また,光ファイバと無線の時代になり,多種多様なサービスが出てくる。このような中で一つのグループが市場を独占することは不可能だ」と強調した。

 また,NTTグループの再々編については「現在のNTTグループの最大のテーマは中期経営戦略の実現で,これは『待ったなし』の状態だ。グループの再々編となると法律と枠組みの見直しが必要となり,これは多大な時間とエネルギーがかかる」と説明。しかし,「今の法的な枠組みの中で中期経営戦略を進めるが,どうしても法律が障害になる場合は,関係方面にその見直しをお願いする」とグループ企業の再々編を否定はしなかった。

 和田社長は講演の中で,曲げに強い光ファイバや光ルーター,高品質の音声合成技術「Cralinet」,人体を使う通信技術「Red Tacton」などの研究成果を紹介。これらの先進技術を投入して,中期経営戦略で掲げた「2010年までに光ファイバの3000万加入とほぼ100%の携帯電話ユーザーの第3世代携帯電話への移行」,「FMC」(固定-携帯融合),「通信・放送融合サービス」の実現を目指すとした。

(武部 健一=日経コミュニケーション