迷惑メールは業務効率を落とすだけでなく,メール・サーバーに大きな負荷をかける。社員のアドレスあてに届くアダルト・サイトの宣伝・広告メールなどを削除したり,サーバーの負荷を軽減するのが迷惑メール対策システムだ。構築料金は,安い場合で20万円台からとなっている(表)。
迷惑メールの対策手法はいくつかあり,それによって料金なども異なる。また,ネットワーク構成の見直しやサーバーの置き換えなどの作業が発生した場合,それに応じた料金が必要になる。
「迷惑」の種類で対策も分かれる
迷惑メール対策は大きく分けて(1)社員に送られる迷惑なメールを減らす,(2)大量かつ不要なメールの流入を抑えてメール・サーバーを守る——の二種類がある(図)。ユーザーが受け取る不要なメールが増加すると,削除作業に時間をとられ業務効率の低下につながる。
また,大量のあて先不明メールが送られてくると,メール・システムに余計な処理負荷を与える。メール・サーバーはこうしたメールを「あて先不明」として送信元に返そうとするが,迷惑メールの多くは送信元を詐称しており返すことができない。結果的にメール・サーバーには,大量のあて先不明メールを長期間保管するなどの高い負荷がかかる。
(1)と(2)のどちらの対策を取るかによって,対応できる製品も変わってくる。例えば,米センドメールの「MailStream Manager」は,メールの流量を制御するソフトウエアである。社員へ迷惑メールを届かなくする対策には,別会社の製品をオプションで追加しなければならない。
ネット構成の見直しが必要なことも
導入にあたり,ネットワーク構成の見直しが必要なケースもある。新たに導入する機器やネットワーク構成の見直しに応じた費用が発生する。
例えば,米アイアン・ボートの「Cシリーズ」は迷惑メール対策システムであると同時にMTA(message transfer agent)の機能も持つ。こうした機器を導入する場合,現在,使用中のメール・サーバーを置き換えるかどうかでシステム全体の料金は変動する。
また,既存のサーバーを使い続けるなら,DNS(domain name system)のMX(mail exchange)レコードを迷惑メール対策システムに書き換えが必要。そこから,現用のサーバーに配信する。こうした変更作業に伴うコストが生じる。
届いたメールの処理方法は三通り
「システムが迷惑と判定したメールをどう扱うか」も,あらかじめユーザー企業が決断すべき事項である。扱い方によって,導入すべきシステムが異なるため,当然,料金にも差が付く。
対策は(1)無条件で削除してしまう,(2)メールの件名に「spam」などの文字列を付けてユーザーに配送する,(3)システム側に隔離しておき,社員がWeb画面などで確認できるようにする——の三つに大別できる。ただし,(3)の機能を持つ製品は限られる。
迷惑メール対策システムにとって,正常なメールを迷惑と判定するような誤検知が発生する確率はゼロではない。万が一にでもメールを紛失するわけにいかないのであれば(1)の方法に踏み切るのは難しい。(2)の方法で利用を始め,識別能力が高いと判断できれば(3)へ移行するのが現実的だろう。