「LOVE定額」を発表する野副正行・ボーダフォン副社長
「LOVE定額」を発表する野副正行・ボーダフォン副社長
[画像のクリックで拡大表示]

 ボーダフォンは10月11日,あらかじめ指定した携帯電話への通話がかけ放題になるサービス「LOVE定額」を11月1日から開始すると発表した。利用料は月額315円。同社は携帯電話の加入者獲得競争でNTTドコモやKDDIに大きく後れを取っており,他社に先駆けて音声通話の定額サービスを拡充して巻き返しを図る。

 LOVE定額は,あらかじめ指定したボーダフォンの一つの携帯電話番号への音声通話とメールが定額になるサービス。テレビ電話の通信料は2006年5月分までの期間限定でかけ放題とし,その後は通常料金の半額を課金する。

 ただし携帯電話事業者にとって,音声通話への定額制導入は諸刃の剣。通話やメールのトラフィックが急増して無線ネットワークに大きな負担がかかることや,ARPU(加入者一人当たりの通信収入)の減少に直接つながってしまうという問題があるからだ。

 こうした問題に対して,都内のホテルで記者会見を開催したボーダフォンは,「当社はすでに家族内の音声定額サービスやメールの定額サービスを提供しているが,トラフィック量はいずれも当初の想定内に収まっている。今回のサービスもシミュレーション上,問題が出ないと考えている」(野副正行・ボーダフォン副社長)と説明した。またARPUの減少についても,「通話やメールの利用頻度が増えれば,着うたなど他のサービスにも好影響を与えるはず。さらに加入者増など全体の底上げを図れる」(野副・副社長)と強気の見通しを語った。