10月3日に経営破たんが明らかになった通信ベンチャーの平成電電について,総務省は「まず第一に,現在利用しているユーザーの保護を考えてほしい」(総合通信基盤局料金サービス課の谷脇康彦課長)とコメントした。現在のサービスの安定運用と,万が一サービスを停止する場合の他事業者への円滑なユーザー移行を望んでいるとした。

 これに対して平成電電は10月4日,「サービスを当分続ける資金は確保している」(平成電電)と明言。営業を継続する意志を改めて強調した。他の通信事業者への回線料金などインフラへの支払いが滞ることによるサービス停止の可能性はないとしている。

 ただし法律的には,平成電電は総務大臣に届け出るだけでサービスを停止することはできる。ユーザーに対しては,1カ月前に告知することが定められているだけだ。

 平成電電は10月3日,東京地方裁判所に民事再生法を申請。事実上倒産した。同社とそのグループには直収電話で約15万,マイラインで約35万のユーザーが存在する。このほか,ADSLやインターネット接続サービスなども提供している。マイライン事業は7月30日にドリームテクノロジーズの子会社の平成電電コミュニケーションズに移管されている。ドリームテクノロジーズは平成電電が約40%出資している会社。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション