米ポラリス・ワイヤレスのトーマス・ラッペ マーケティング担当上級副社長(左)と川島晃日本市場開発担当
米ポラリス・ワイヤレスのトーマス・ラッペ マーケティング担当上級副社長(左)と川島晃日本市場開発担当
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電波強度と基地局の情報から端末の位置を割り出す
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 携帯電話向けの位置情報システムを開発する米ポラリス・ワイヤレスは9月29日,都内で記者説明会社を開催,日本市場への取り組みについて説明した(写真上)。同社は携帯電話事業者向けに,基地局の情報からユーザー端末の居場所を割り出すシステムを開発・販売している。

 特徴は全地球測位システム(GPS)に対応していない既存の携帯電話端末やネットワークでも,端末の位置を割り出せること。携帯電話の基地局の位置や端末が受けている電波強度の情報をセンター側で取得。これらの情報を基にして場所を割り出す(写真下)。同社はこの技術をワイヤレス・ロケーション・シグネチャ(WLS)と呼んでいる。

 WLSはKDDIなどGPSを採用している事業者にとっても「補完的に活用できる」(川島晃日本市場開発担当)としたうえで,「都市部や屋内ではWLSを使った方が精度が高い,GPSでは測位に時間がかかるが,WLSはすぐに位置情報を提供できる」(同)といったメリットがあるという。地図情報の配信といった使い方のほか,緊急通報時の位置特定や特定エリアにいるユーザーだけへの情報配信などに活用できる。

 日本市場への取り組みについては「名前は明かせないが,携帯電話事業者と交渉中。第3世代携帯電話を現時点でメインのターゲットと考えている」(トーマス・ラッペ マーケティング担当上級副社長)。米国ではSunComやDobson Communicationsなどの携帯電話事業者が導入を決めている。英ボーダフォンとも試験を実施しているという。

 なお,ポラリスは近々日本法人を立ち上げ,川島氏が代表に就任する予定。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション