KDDIとソフトバンクは10月にも,一部の区間でFTTHに利用する光ファイバを試験的に敷設する。

 これは総務省の検討会で討議されていたスキームを実行に移すもの。総務省では電柱からユーザー宅までの区間に限定し,NTT東西地域会社以外の事業者が自前で敷設する方法について検討を重ねてきた。そして7月29日,「光引込線に係る電柱添架手続きの簡素化等に関する検討を踏まえた今後の取組」を公表した。

 これを受けて9月29日,NTT東西地域会社はスキームを試行するエリアを発表した。具体的には,NTT東日本は東京都目黒区,NTT西日本は大阪府豊中市を中心に実施する。現在事業者間での話し合いが進んでおり,早ければ10月にも開始となる。6カ月程度の試行期間の後,本格実施に移る計画だ。

 このスキームでは,NTT以外の通信事業者が電力会社やNTT地域会社が保有する電柱に光ファイバの分岐機器を設置。光分岐機器からユーザー宅までの,いわゆる“ラストワンドロップ”の光ファイバを独自に引く。この作業を円満に進めるため,利用できる電柱のポイントや敷設方法などが話し合われた。現在のところ,ユーザーの最寄の電柱で光ファイバを8分岐するGE-PONのFTTHサービスへの適用を想定している。

 現在,東西NTTと試験の参加事業者が敷設の方法や手続きについて交渉中。早ければ10月にも試行が始まる見通し。KDDIは参加を表明しており,同じくソフトバンク・グループも参加すると見られる。東西NTTは検討会に出席していない他の事業者の申し込みについても受け付けている。

 なお,詳細な試行エリアは,NTT東日本については目黒本館局および自由が丘局の収容エリアで東京電力の品川支社内(東京都目黒区,大田区,品川区)。NTT西日本は豊中局の収容エリア。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション