携帯電話事業への新規参入を申請したイー・アクセスの千本倖生会長(左)と種野晴夫社長(右)
携帯電話事業への新規参入を申請したイー・アクセスの千本倖生会長(左)と種野晴夫社長(右)
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 携帯電話事業の新規参入を目指すイー・アクセスは9月29日,子会社のイー・モバイルを通じて参入に向けた申請書類を総務省に提出した。新規参入の申請はソフトバンクに次いで2社目。総務省の許可が下り次第,2007年3月のサービス開始に向け事業展開を本格化させる。

 イー・モバイルが申請したのは,1.7GHz帯の携帯電話用周波数。書類提出後,イー・アクセスの千本倖生会長兼CEO(最高経営責任者)と種野晴夫社長兼COO(最高執行責任者)が報道関係者の会見に応じた(写真)。「ようやく巨大なモバイル市場に参入できる準備ができた。2007年春ころにデータ通信サービスを始め,翌08年には音声サービスも提供したい」(千本会長)。

 同社は開始時から全国エリアでサービスを提供するため,NTTドコモと通信設備のローミングを希望している。千本会長は「現時点ではNTTドコモとのローミングのメドはたっていない」とコメント。一方で,「我々がサービス・エリアを拡張していく過程で,時限的にドコモさんとローミングさせていただくのは,不平等な競争をフェアにするための手段だと思っている」とも語り,交渉を続けていることを明らかにした。

 さらに千本会長は,イー・モバイルに250億円出資することが明らかになった米ゴールドマン・サックスとの関係にも言及。「ゴールドマンは過去にイー・アクセスにも出資しており,5年以上の信頼関係がある」。資金的な支援以外にも,ゴールドマンのグループ会社が出資するユニバーサル・スタジオ・ジャパンとの連携や,全国に保有するゴルフ場やホテルに無線基地局を設置する計画なども明らかにした。

 イー・モバイルは今後5年間に,基地局などの設備に約3000億円,販促費や端末開発など運転費用に1000億円程度の投資を計画している。「ゴールドマン以外にも多数の会社から出資の話がある。当面の資金計画に不安はない」(千本会長)。

 総務省が新規事業者の申請を受け付けるのは9月30日まで。2GHz帯での参入を狙うベンチャー企業のアイピーモバイルも,最終日の30日に申請する予定である。