迷惑メール対策の重要性を説明するIIJの鈴木幸一社長
迷惑メール対策の重要性を説明するIIJの鈴木幸一社長
[画像のクリックで拡大表示]

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は9月27日,個人向けインターネット接続サービス「IIJ4U」と「IIJmio」の迷惑メール対策を強化すると発表した。10月18日より「Outbound Port 25 Blocking」(OP25B)と呼ぶ対策を実施する。IIJの動的IPアドレスを使うユーザーが携帯電話あてに迷惑メールを送信する行為に対応するもの。

 OP25Bは,具体的にはプロバイダが設置したサーバー以外からのメール送信を禁止する対策だ。これにより,自営のサーバーを構築した迷惑メール送信者や,ボットを仕組まれたパソコンによる迷惑メール送信を阻止できる。ブロックの対象となるのはNTTドコモ,KDDI,ツーカー,ボーダフォンのアドレスあてに送られるメールである。

 複数のプロバイダに加入しているユーザーなど,IIJのネットワークから別のプロバイダのメール・サーバーに接続してメールを送るケースもある。こうしたケースでは接続先プロバイダのメール・サーバーが587番ポート(Submissionポート)で接続させてSMTP認証を課す必要がある。なおIIJ4UとIIJmioは,今春にSubmissionポートとSMTP認証に対応済している。

 新機能の発表会と同時に開催したIIJ主催の説明会に登場した鈴木幸一社長(写真)は,「米国では迷惑メールが大量になり,電話で話さざるを得ない状況になっている」と,日本の迷惑メール問題も対策が急がれる状況を説明した。IIJは11月中には個人向けサービス,12月中には法人向けサービスを送信ドメイン認証に対応させるなど,迷惑メール対策をさらに強化していく。

 OP25Bは今年に入ってから実施プロバイダが増えており,迷惑メール対策としては主要技術になりつつある。迷惑メール対策団体のJEAG(Japan Email Anti-Abuse Group)にもOP25Bのサブ・ワーキンググループが設けられている。先行してOP25Bを実施したプロバイダでは,「携帯電話事業者あてのメールの数が激減」,「迷惑メールに関する問い合わせの件数が激減」といった効果を確認している。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション