総務省の「IP時代における電気通信番号の在り方に関する研究会」
総務省の「IP時代における電気通信番号の在り方に関する研究会」
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 総務省は9月21日,固定電話と携帯電話を融合させたFMC(fixed mobile convergence)での電話番号や,Skypeなど公衆インターネットを経由するIP電話への着信転送のあり方などを検討するために,「IP時代における電気通信番号の在り方に関する研究会」の第4回ワーキンググループを開催(写真)した。2006年1月まで毎月開催する。年内に論点を整理し2006年3月までに報告書を取りまとめる計画だ。

各社が想定するFMCを事前提出,FMCに対するイメージの統一図る

 今回のワーキンググループでの注目されるのは,FMCに関して各事業者が想定しているシステムや導入時期,電気通信番号の体系などを,事前に意見という形で総務省が広く提出を求める点。9月26日もしくは27日に募集を開始,10月14日に締め切る予定である。

 事前に具体的なシステムのイメージを提出してもらうことに対し,総務省は「番号を議論するにしても,各社が持っているFMCのイメージが異なることがあり議論がかみあわない」ことを理由に挙げる。ただし,この“意見”の内容自体が各社のFMC戦略にかかわるため,「出せる範囲でお願いする」(総務省)と一定の配慮を見せる。

Skypeへの着信転送時はトーキーを入れるなどの考えを提示

 Skypeなど公衆インターネット網への着信転送は,既にフュージョン・コミュニケーションズが実施することを発表しており,今回のワーキンググループでも議論に上った。同社が計画するサービスは,050番号へ発信した際,先方のSkypeがオンラインであれば同社のゲートウエイを介してSkype側に着信転送させ,Skypeがオフラインであれば通常の050番号を割り当てたIP電話機に着信する。

 この際に議論となるのが,ゲートウエイからSkypeまでの公衆インターネット区間。公衆インターネット網への転送に対しては,(1)なりすましなどのセキュリティの問題や通話品質の低下などに対して,事業者の責任が及ばない,(2)費用負担している発信者は,受信側が050番号を付与されたIP電話に発信しているのか,公衆インターネットを経由して受信しているのかが分からない,といった問題点を総務省側が指摘した。

 ただし,例えば公衆インターネット網側への転送が発信者にも分かるように転送時は自動音声応答のトーキーを入れるなどの方策が考えられるといった具体案も示すなど,実現に向けた総務省の積極的な姿勢がうかがえた。

 また今回の第4回ワーキンググループでは,行政機関向け問い合わせ番号として3ケタの1XY番号の利用検討なども取り上げられ,今後議論されていく。

(大谷 晃司=日経コミュニケーション