「Trend Micro Network Reputation Services」の概念図(同社のプレスリリースから引用)
「Trend Micro Network Reputation Services」の概念図(同社のプレスリリースから引用)
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 トレンドマイクロは9月20日,スパム(迷惑メール)送信元のIPアドレス情報を提供する新サービス「Trend Micro Network Reputation Services」を発表し,10月31日から販売することを明らかにした。メール・サーバーで同サービスのデータベースを参照するようにすれば,スパムを送られる前に,スパム送信サーバーとの接続を拒否できる。参考料金は,50アカウントで3万5000円から。

 Network Reputation Services自体は,米Trend Microから米国時間7月18日に発表されている(関連記事)。今回の発表では,国内での販売開始日や参考料金などが明らかにされた。

 今回発表されたサービスは,米MAPSが以前提供していた「MAPS RBL(Mail Abuse Protection System Realtime Blackhole List)」などと同様のサービスといえる。実際今回のサービスは,MAPSを前身とする米Kelkea(1996年設立)の買収により可能となった。トレンドマイクロは2005年6月にKelkeaを買収。今回のサービスでは,Kelkeaがこれまで蓄積したノウハウやデータベースなどが利用されている。

 「コンテンツ・フィルタリングだけではスパム対策として十分ではない。メールの量が増えれば,フィルタリングに必要なCPU負荷は増大し,“スパムかもしれない”メールを保存しておくために必要なストレージ容量も増大する。エンドユーザーは,“スパムかもしれない”メールのチェックに追われ,生産性が低下する」(Kelkeaの元CEOであり,現在はTrend MicroのInternet Content Security部門においてChief Technologistを務めるDave Rand氏)

 同社が提供するデータベースを参照して,その送信元から明らかにスパムと考えられるメールを受け取らないようにすれば(SMTPセッションの時点で排除すれば),フィルタリングすべきメールは大幅に削減できるという。「今回のサービスは,コンテンツ・フィルタリングの弱点を補うもの。両者を組み合わせることが,スパム対策として有効である」(Dave Rand氏)

 Network Reputation Servicesでは大きく分けて2種類のデータベースを用意している。「RBL+データベース」と「QILデータベース」である。前者は1日に10回程度更新するデータベースで,登録や削除,確認などは同社のスタッフによって手動で実施さえる。後者は,5分ごとに自動的に更新される動的なデータベース。RBL+データベースに含まれていないスパム送信元に対応する。

 前者だけを利用できるサービスが「Trend Micro RBL+ Service」で50アカウントで3万5000円から。両方を利用できるサービスが「Trend Micro Network Anti-Spam Service(NAS)」は50アカウントで6万5000円から。今回発表したTrend Micro Network Reputation Servicesというのは,Micro RBL+ ServiceとNASの総称である。

 利用方法は,MAPS RBLやORDB(Open Relay Database)といったデータベース(ブラックホール・リスト)と同じ。同社サービスのデータベースを参照するように,メール・サーバーの設定ファイルを変更するだけ。専用のモジュールなどをインストールする必要はない。この設定が可能なメール・サーバーなら,RBL+ Serviceを利用できる。具体的には,SendmailやPosfix,qmailといった主要なメール・サーバーはもちろん,メール・サーバー機能を持つゲートウエイ製品の多くで利用できる。同社では現時点で35種類のメール・サーバー(メール・サーバー機能を持つ製品)で利用できることを確認している。

 ただしNASについては,2種類のデータベースを参照する必要があるので,利用できるメール・サーバー製品は9種類(SendmailやPosfix,qmailなど)に限定されるという。

◎参考資料
メールサーバの手前でスパムメールをブロックする 「Trend Micro Network Reputation Service」を提供開始(プレスリリース)