ソーシャル時代のコンピュータサイエンス入門 ~統計的手法と機械学習の重要性~
ディー・エヌ・エー ソーシャルメディア事業本部 ソーシャルゲーム統括部 スマートフォンSG部システム第3グループ 水野 貴明 氏
ディー・エヌ・エー ソーシャルメディア事業本部 ソーシャルゲーム統括部 スマートフォンSG部システム第3グループ 水野 貴明 氏

【講演概要】さまざまなソーシャルサービスが提供される現在、コンピュータサイエンス(CS)の重要性がますます高まっています。中でも、日々大量に生み出される膨大なデータの中から意味ある情報を抽出する統計的手法や機械学習は最もホットな分野です。ソフトウエアエンジニアは従来のような職人的技術だけではなく、これらのCSに基づいた知識と実装能力が求められています。本講演では、ソーシャル時代のコンピュータサイエンス入門と題して、統計的手法や機械学習の応用例とその重要性、学び方などを解説します。

■ 9月16日(金)11:30-12:10 C会場
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担当記者による紹介記事

 「日本のIT業界では、オブジェクト指向設計やアジャイルといった開発手法と比べて、コンピュータサイエンスが話題になることが少ない、という印象を持っています」──。こう指摘するのは、はてな、百度(バイドゥ)、ディー・エヌ・エーと、Web業界の最前線をソフトウエアエンジニアとして歩んでいる水野貴明氏だ。

 「必要がないからと割り切るのは簡単ですが、例えば、GoogleにしてもFacebookにしても成功しているIT企業の中にいるエンジニアはみんなコンピュータサイエンスが分かる人達です。システムをチューニングしていくと、最終的にはコアとなるアルゴリズムの改良に行き着きます。計算量はどれくらいなのか、といった話になります」。

 水野氏が大学で専攻したのは有機化学と分子生物学。プログラミングは完全に独学だったが、「この業界で働くうちに、コンピュータサイエンスをきちんと体系的に学ぶことが、仕事の質やパフォーマンスを上げるためにはとても重要であると痛感しました」と振り返る。

 そして現在、“ソーシャル”の時代が訪れている。さまざまなソーシャルサービスが日々登場中だ。

 その渦中において、数多あるコンピュータサイエンスの領域の中でも、データマイニングや機械学習といった統計的手法が重要性を高めていると水野氏は指摘する。大量のデータを解析して、いろいろなものの関連性を自動的に掘り起こすアルゴリズムである。Amazon.co.jpの「おすすめ商品」やGoogleサジェスト、Gmailのスパムフィルタなどの機能が身近にある代表的な応用例だ。

 「これらは特に目新しいものではありませんが、Web上に大量のデータが溢れるようになって、真価を発揮してきました。Webサービスはもとより、社内向けの情報システムでも、使いやすいソフトウエアを作るときは必ず必要になってくるでしょう」。

 コンピュータサイエンスは航空工学やロケット科学などと異なり、ネットとパソコン、そしてやる気さえあればすぐにでも試作、実験できるのが特徴だ。

 「Twitterのログ検索サービスを個人で作っている人がいます。個人レベルでもネットから大量のデータを簡単に入手できる時代です。学校で学ばなくても、それらのデータを利用してデータマイニングや機械学習の勉強をどんどん進めて、試作したシステムをネットで公開することもできます」。

 水野氏による講演では、ソーシャル時代のカギを握るアルゴリズムの紹介と応用例、その学習法などを紹介する予定である。

(武部 健一=日経ソフトウエア

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