そのテストのやり方で大丈夫ですか? ~グローバルなテストプロセスの基本と現場適用の勘所~
ガイオ・テクノロジー エバンジェリスト / チーフコンサルタント NPO法人 ソフトウェアテスト技術振興協会 副理事長 大西 建児 氏
ガイオ・テクノロジー エバンジェリスト / チーフコンサルタント NPO法人 ソフトウェアテスト技術振興協会 副理事長 大西 建児 氏

【講演概要】多くのIT現場において、自分たちのテストのやり方が適切かどうか悩んでいることでしょう。きちんとテストをしているつもりでも、あとでバグが見つかったり、スケジュールが遅延したりすることはよく聞くことです。この講演では、そんなあなたに向けて、これまでのテストのやり方を点検し、振り返る場を提供します。具体的には、「ISTQB(International Software Testing Qualifications Board)」のシラバスをベースに、グローバルなテストプロセスとは何か、現場で適用する上での勘所は何かなどを取り上げます。これと比較することで、現状のテストのやり方の問題点が浮かび上がります。また、最近よく聞く「ALM(Application Lifecycle Management)」との関係も明らかにします。

■ 9月16日(金)13:10-13:55 B会場
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講師へのインタビュー

今回の講演のメッセージは何ですか?

 皆さんのテストの進め方を振り返るきっかけとしてほしいことです。競争力のあるグローバルなテストプロセスとは何か、現場で適用する上での勘所は何かについてお話しをしたいと考えています。

 それなりにテストしたつもりでも、バグが残ったり、テストのスケジュールが遅延しリリースに影響したりする。そんなプロジェクトを経験された方々にも、自分たちのテストのやり方のどこが問題なのかを振り返っていたく機会になればと思います。

グローバルなテストプロセスとは何ですか?

 本講演では、ISTQB(International Software Testing Qualifications Board)という国際的なソフトウェアテストの資格認定のシラバスで定義されたテストプロセスをご紹介します。この資格は既に世界で16万5000人以上、国内でも6000人以上の方が取得しており、およそ60カ国で普及しています。

 ISTQBではテストプロセスを「テスト計画作業とコントロール」「テストの分析と設計」「テストの実装と実行」「終了基準の評価とレポート」「終了作業」という五つの要素に分けています。これら五つの基本となるテストプロセスを現場で取り入れ、実践していくことで、テストプロセス全体を改善し、プロダクト品質の確保へとつなげていくことができるようになります。

最近よく聞く「ALM」とはどんな関係にあるのでしょうか?

 アプリケーション開発の要件定義から実装、テスト、運用までを統合的に管理するのが「ALM(Application Lifecycle Management)」です。このALMとISTQBのテストプロセスは、相互に深い関係があります。ALMでは要件やソースコード、テストケースといった成果物の関係を明確にし、その構成管理や変更管理を行います。

 テストに関する成果物の管理は、ISTQBのテストプロセスでも重視しています。ALMは、特に大規模だったり複雑なサービスやフィーチャーを持つシステムにおいては、ISTQBをベースにしたテストプロセスの実践という面でも、有用かつトレーサビリティーの確保では不可欠になっていくものであるといえるでしょう。

このテストプロセスを導入すれば、すべての現場が救われるのでしょうか?

 銀の弾丸ではありません。ですが、導入するだけではなく自らの開発に合うように改善することができれば、必ず組織のテスト力は高まりますし、その結果救われるのではなく、自ら救うことができるようになるはずです。とはいえ、グローバルなテストプロセスを導入するには、いくつか乗り越えなくてはならない壁があります。

それは何ですか?

 例えば最初の壁、テストプロセス導入以前の話として、テストに関する用語や考え方の統一を図らなければならないことが挙げられるでしょう。成果物同士を明確に関連付ける(リンクさせる)仕組みを現場で作り上げる必要も出てきます。こういった意味からも、テストプロセスの実践には両輪となるテストツールの活用が求められます。壁を乗り越えるための勘所を講演の中でご紹介する予定です。また、ISTQBのほかにもテストに関する情報源もご紹介しようと思っています。

(聞き手は、池上 俊也=日経SYSTEMS

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