この4月で大学2年になるこうしろうとMINDSTORMSを始めたころ,1999年の秋ごろのことだが,こうしろうは本やMINDSTORMS添付のソフトウエアの指示に従ってロボットを作ることよりも,自分の考えでロボットを作ることを好んだ。第4話あたりを参照してほしい。おもしろいアイデアがパッと浮かぶときは良いのだが,そうでないときは,何を作るか決めるのに1時間もかかったりしていた。また,良さそうなアイデアでも,実現するのが難しくロボットを組み立てるだけで半日もかかることがあった。

 こうしろうと10歳違いの娘ほのちゃんは現在,アフレルのデスクロボというテキストに基づいて,ロボット・プログラミングを楽しんでいる。

 テキストを使う良いところは計算できる点だ。このテーマだったら1時間あればできるだろうと予想を立てることができる。私が忙しいのと,もうすぐ小学4年生になるほのの興味があちこちに向いているので,なかなかまとまった時間がとれないのだ。

 3月23日 この日はデスクロボ第3号のチャレンジに挑む。デスクロボ第3号で学習する内容はくり返し制御なので,その卒業検定とも言うべきチャレンジの課題は何かの周りを四角く回ることだ。ちなみに春休みに帰省して,自動車学校に通っているこうしろうの卒業検定も,もうすぐだ。新学期が始まるまでには免許が取れるようだ。

 クッションの周りを回ることにした。「ループのしかた,覚えとるか?」とほのに聞くと「ああ,あれね」と答えた。ループには無限ループと時間ループ,それからカウントループがあり,どれを使うべきなのか,ほのに気づいてもらえるように説明する。

 「まっすぐ進んで左に曲がる,この動きをセットで4回くり返すには,どのループを使えばいいか」と身振り手振りを交え何度かくり返しているうちに,「カウント!」と気づいてくれた。

どんな風に動かせばいいかは頭だけで考えず,ロボットを手で動かして体験してみる。

 プログラムの構造だけはあっという間にできた。C,Bの二つのモーターを回して直進し,次にBだけを回して左折する。周りを囲むループコマンドには4という回数を指定している。ほのを苦しめたのは,直進の時間と左折の時間の設定だ。

直進の時間が短いと,このようにクッションに乗り上げてしまう。

 ほのはなんども,なんども時間を調整した。3回目以降,7回目まで細かい調整が続いているが,結果から言うと,あまり役には立たなかった。結局は,少し大き目に周囲を回ることとスタート位置に気を付けることが何かの周りを回るときのコツだ。最後は大ざっぱな値で落ち着いた。0.01秒なんていう調整は不要なのだ。

くり返しロボットを走らせているうちに,バッテリが切れかかってきた。

 とりあえず,単三電池を使うことにした。マインドストームNXTはリチャージャブル・バッテリと単三電池が使えるので便利だ。

 ほのはワーワー言いながら,ロボットを追いかけまわし,悔しがったり大きな声で喜んだりする。この日は約45分で課題を攻略した。テキストがあれば,短い時間でもロボット制御を楽しめるのである。