9月24日 トレーニングセンターでの講習を終了したこうしろうに「次はどっちに進む?えーとChallengesというメニューを選んで、出題された課題に従いロボットとプログラムを作成するか、それとも、自分で考えてロボットとプログラム作る?」と聞くと「自分で作ってみる」と答えた。
こうしろうとかずがロボットを作成していく。可動部はこうしろう、デコレーションはかずが担当する。「おまえの独創性を生かせ!」これは私のセリフではない。かずに「ここ、どうすりゃいいけ?」としつこく聞かれて、こうしろうが言ったセリフである。こうしろうは口から生まれてきた。いや、分娩に立ち会ったわけではない。とにかく、小さな頃からよく口がまわった。2歳数カ月の時、かぜをひいたので医者につれていくと、自分で症状をべらべらしゃべりだし周囲を驚かせた。
9月25日 昨日作ったロボットを改良する。こわれやすいのである。モーターが重たいので、RCX本体を手で持って動かしたりすると、すぐに足回りと本体が分離する。「創造と破壊を繰り返して文明は進歩してきたのだ」などとわけのわからないことを口走っている父を尻目に、補強作業が続けられた。
作成したロボット(哺乳類のようにも魚類のようにも見える)
9月26日 こうしろうは朝から野球の練習試合に行っている。私は児童クラブの行事でかずと一緒に陶芸教室に行っていた。かずは皿を、私は花瓶みたいなビア・ジョッキを作った。ここの講師は怖かった。小さい子だろうが、お母さんだろうが相手かまわず、野太い声で命令口調だ。おかげで作業は順調に進んだ。でも、私はいちいち「Good
Job」と励ましてくれるマインドストームの講師の方が好きだ。
こうしろうが帰ってきた。3試合目で先発ピッチャーをさせてもらったそうだが、どうも機嫌が悪い。バッティングで結果を出せなかったことが不満らしい。
今日は、昨日完成したロボットのプログラムを作成して、テストシート上を走らせてみることにした。こうしろうがプログラマだ。私はちょっと後ろで「これ、なんけ?」というこうしろうの質問に答える。コマンドブロックに働きについては、ちゃんと説明するが「こうしたら、どうなっけ?」という結果を求める質問には「やってみるこっちゃ」とかわし、答えない。最初から正解のプログラムなんて作っちゃいけないと思う。「理解するためには、失敗することだ」なんて言うとかっこいいが、本当にどうなるのか私にも予想がつかないことが多い。
作成したプログラム
ロボットのおしりにはライトセンサーが付いている。ライトセンサーは光を発し、反射された光を感知して暗い所にいるか、明るい所にいるかを判断する。上記のプログラムは、テストシート上の黒く塗りつぶしてある個所をロボットが通ったら、片方のモーターを2.5秒間止めて(片方のモーターだけを2.5秒間回して)進行方向を変えるというものである。
RCXにプログラムをダウンロードし、RUNスイッチを押す。ロボットは“スー”とテストシートの上を走り抜けた。「ライトセンサーがきいていない。」わくわくしながら、凝視していたこうしろうの期待は見事に裏切られた。残念だが、時計の針が10時をまわっていたので「今日はここまで」である。
こうしろうが眠りについた後、ひとりで考えてみた。「問題になりそうなところは2カ所ある」。まず、ライトセンサーを実際にケーブルで接続した入力ポートとLight
Sensor Watcherで指定したポートは一致しているか?「一致している」。
次に、ライトセンサーでは明度を0から100の数値で表す。規定値では0から50がdark(暗い)、51から100がbright(明るい)となっている。しかし、部屋の明るさが違えば規定値通りにはいかないはずだ。「この数値を変える必要があったのでは」。まあ、いいや今度にしよう。
第4話 おまえの独創性を生かせ!
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