第261話で紹介したロボライズという会社の高木社長に,TJ3(Top Junior 3)を送っていただいたので,早速組み立ててみた。

 パーツはコンパクトにまとまっている。ハンダ付けは必要ないので,センサーなどのパーツを切り離すためのニッパー,ナットを締めるためのラジオペンチ,それに小ぶりのプラスドライバがあれば,組み立ては可能だろう。きれいに仕上げるには,ヤスリもあったほうがいいかもしれない。

 モーターとギヤは一体になっている。ギヤ比をいじることはできないが,その分,正確な動きが期待できる。

  タッチセンサーの反発は,スプリングによる。このタッチセンサーは,何かにぶつかっていないときに電流が流れ,押されると電流が止まる仕様だ。LEGO MINDSTORMSだと,ブラックボックス化されているタッチセンサーの中身を知ることができる。

 これが完成イメージだが,組み立ては簡単かというと,多少経験がないと間違えやすいかもしれない。じっくり組み立てマニュアルを見れば気づくのであるが,何の気なしに組み立てていると,ついついナットを付け忘れたり,付けすぎたりしてしまう。いつもロボット・プログラミング講習会で,LEGO MINDSTORMSを使ってロボットを作成している小学生たちにとってはどうだろうか。高学年の子なら完成したロボットを見ながら,自分で組み立てることができるかもしれない。

 裏にはライトセンサーを付ける。黒いラインなどをトレースして進むことができる。タッチセンサーは全部で四つある。両肩の二つは,壁にぶつかったときに向きを変えるためのセンサー。ライトセンサーの前に付いている二つは,ボールにぶつかったかどうか知るためのタッチセンサーだ。このロボットはロボカップ・ジュニアのサッカー競技をするロボットなのである。

 正面には,もう一つのライトセンサー(ボールセンサー)が付いている。このセンサーで赤外線を発するサッカーボールを感知するらしい。

 パソコンとは一端がUSB,もう一方がシリアル9pinのケーブルで接続する。画像は,センサーの値をモニターしているところだ。

 ロボットのプログラムは,C-Styleという開発ソフトで作成する。アイコンを縦につないでプログラムを作成していくが,おもしろいのはアイコンの横に式だけでなく,コメントを記述できるところだ。//の後がコメントである。C言語のスタイルを採っている。Sub Progというアイコンでプログラムを複数に分割して,作成していくことができる。アイコンで作成したプログラムをビルドすると,C言語ライクなコードが自動的に生成される。

 編集スタイルを変えると,このコードでプログラムを編集することができる。Sub Progが一つの関数として表現されている。

 まだ詳しく言語の仕様を調べたわけではないが,C言語独特のポインタなどはもちろんなく,関数もない。制御構文でロジックを組み立てていくだけなので,単純にロボットの動きを作ることに専念できる。中学生が初めてプログラミングを学ぶのに,このC言語のサブセットのような言語は適していると思う。